東京で3年間勤めた設計事務所の仕事をフルタイムのテレワークで、地元青森で続けることにした。コロナというウイルスに振り回されたとはいえ、テレワークの導入が進み、好きな仕事を好きな場所で続けられるこの時代に感謝である。

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大学4年間、社会人3年間、合計7年間上京していたわけだが、後半の1、2年は故郷に帰りたくて仕方がなかった。建築士の資格を取得できたことが大きな決め手となり、戻ろうと決心した。

恋人、友人、仕事を東京に置いていくことになるわけだから、思いつきで決められるようなことではなかった。ただ、大好きな家族や土地、これからの将来を考えると、青森に拠点をおきたいと思った。

何より東北の冬が大好きだった。寒いけどあったかい、何にもないけど豊かなわたしの故郷。夜中も響きわたる酔っ払いの声やクラクションの音、星の見えない夜空にうんざりしていたのかもしれない。

さて、決心が固まったからには行動に移さないといけない。東京のマンションから数十個の段ボールを郵送し、会社からも何個か送り、実家に戻ってからは休む暇なく解体した。

荷物が少ないほうとはいえかなりの物量。なんとか新年を迎える前には全て解体し、自分の部屋も快適な作業部屋が完成した。

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地下鉄にのっていればどこまでもつれていってくれた都心とは違って、地方の主体となる交通手段は車である。20歳のときに免許をとってから、本人確認書としてしか登場してこなかった免許証がいよいよ正式な役割を果たすときがきた。

母に助手席にのってもらい、いざ発進すると、「危ない!」「キャー-ッ!」と騒ぐもんだから余計、事故を起こしそうである。仕方がないので、大学生の弟に頼み、冷静沈着にアドバイスをもらい、なんとか運転も習得できた。

「教える」という能力に関しては、やっぱり男性の方が得意なんじゃないかなと思う。あとはYouTubeの力をかりて、駐車のコツを学んだ。

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そして、4月からはもう一つ新たなチャレンジに挑戦しようと思っている。それは准看護学校に通うことである。2年間の通学で、准看護師の資格取得ができる。午前中は授業、午後はテレワークというスタイルだ。

近年、リスキリングが見直されており、企業や国で推奨されているようだ。経済産業省は「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義づけている。

ここでいうスキルは例えば、動画編集やプログラミング、語学などがあげられるのだが……、私の場合看護というわけだ。

高校生の進路選択の時に、建築学部か医学部のどちらかに進もうと思っていて、あまりの医学部の偏差値、倍率の高さにあきらめた。約10年たった今、看護という形で学びなおそうと思う。

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わたしが通う予定の学校は、社会人から学びなおす人も多く、10代~50代とかなりのふり幅である。入学試験では、簡単なテストと面接を受け、1週間後に合格発表がある。

Webで通知がくるものだと思い込んでいたが、学校の正門に受験番号が張り出された。そこには「201」の番号がばっちり張り出されていた。

安堵とともに、古風なやり方にこの先やっていけるか少し不安をおぼえた。

数日後、指定された専門店で白衣と制服の採寸にいった。まさか再び制服を着ることになるなんて、夢にも思わなかった。ナースキャップもあるのかと少し期待したが、さすがに無かった。

来月からはいよいよ学生に戻る。
不安を抱えつつも、新品の制服と真っ白な白衣を手に入れた今、再び私の挑戦ははじまる。