【公式1】
先輩≒お姉ちゃん
【公式2】
頼る≠押し付ける

これは私が姉として19年の月日を過ごす中で見つけ出した公式だ。3歳の時、妹が生れた瞬間から家庭内の先輩であるお姉ちゃんになった。その時から22歳の今日までずっとお姉ちゃんとして生きてきたし、これからも私はお姉ちゃんとして生きていく。でも、私は時々お姉ちゃんをやめたいと思う時がある。

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長女である私は、学校でも仕事先でも、頼りやすい先輩ポジションになることが多かった。後輩から頼られるのも嫌いじゃないし、誰かの力になれるのは嬉しい。なので、そのポジションにいることに不満はない。でも、お姉ちゃんというポジションは少し違う。同じ先輩というポジションで、頼られる役回りなのに不満が時折顔を出す。自分でもなぜだかわからなかった。

私はまず先輩とお姉ちゃんの違いを考えることにした。先輩とお姉ちゃんはよく似ている。なりたくてなるものでもないし、やめたくてもやめられるものでもない。必然的に頼られる立場になるし、責任も伴う。では何が違うのか。それは関わらないという選択肢があるかどうかだと思う。

家族以外の人間関係は少しの勇気と行動で変えることができる。先輩であることには変わらないけど、人間関係の一部を絶つことで関わらない選択肢が持てる。一方、お姉ちゃんは、お姉ちゃんであることも変えられないし、関りを絶つということは家族の人間関係すべてを失うということになる。関わらないという選択肢がないに等しい。このことから、先輩とお姉ちゃんの関係性は、=ではなく≒だということを導いた。

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次にどんな時にお姉ちゃんという立場にモヤモヤを感じるのか思いかえすことにした。1つ1つ並べてみるとある共通点を見つけた。それは、押し付けられた時にモヤモヤしているということだ。例えば、「お姉ちゃんなんだから我慢して」と大人たちが言うときは、私の意志を無視して妹や大人たちの都合を押し付けられたと感じる。

だが、言葉は不思議なことに、「お姉ちゃんなんだから我慢して」と言いたい場面で、「妹ちゃんんも頑張ってるよ、お姉ちゃんも頑張れるかな?」と言われると私はモヤモヤしなかった。この2つの言葉の違いは、一方的に押し付けられると感じられるか、私を尊重したうえで頼られていると感じられるかだと思う。これが、頼ると押し付けるの違いだと私は思う。このことから頼ると押し付けるの関係性は≒ではなく≠だということを導いた。

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22歳になった今、「お姉ちゃんなんだから」と言われることは、かなり減った。周りの大人たちにモヤモヤを感じることもなくなった。だが、今度は新たな問題が発生している。それは、妹本人とのコミュニケーションだ。妹は、先ほど述べた私の押し付けるコミュニケーションを求めることが多い。ちょっとした雑談の中でも、妹の中では求めている答えがあって、それと違う返答をすると妹は不満を態度に出す。

その瞬間、私と会話がしたいんじゃなくて、肯定してくれる誰かと会話がしたかったんだなと気づく。「自分で肯定できていないからって私の心を無視してまで私に肯定を求めないでよ」と思う。この一方的に押し付けられているようなコミュニケーションに最近よくモヤモヤを感じている。そして、「なんでわかってくれないの?」、「家族なんだからわかってよ」と言われるたびに、家族という逃げ場のない環境を意識させられてモヤモヤしている。

【先輩≒お姉ちゃん】を導きだしてからは、そんなモヤモヤも「まあ、いっか」と思えるようになった。先輩としてうまく立ち回れているのに、お姉ちゃんとしてうまく立ち回れないギャップに苦しむことも減ったからだ。【頼る≠押し付ける】を導きだしてからは、モヤモヤはするけど、なぜモヤモヤしているのかの仕組みがわかっているから引きずることが少なくなった。なので、これからも思いっきりモヤモヤしながらも、お姉ちゃんを頑張っていこうと思う。