大学在学中にアルバイトしていたレストランが破産したことを、最近知った。

破産自体は数ヶ月前のことらしい。友達とこのレストランについて話す機会があって、その後でふとGoogleで検索してみると、記事が出てきた。ビックリはしたけど、「ウソだろ!?」とは思わなかった。どちらかといえば「やはりか……」という気持ちの方が大きい。

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私が働いていたのは34年前のことだけど、土日はそれなりに混んでいた一方、平日はほとんどお客さんが来ていなかった。17~21時くらいまでの夜営業のなかで1人も来なかった日すらあった。そんな日はドリンクバーのジュースを飲んだり、使われてもいないコップを拭いたりして時間を潰していた。

これは私の予想だが、コロナ禍による打撃も破産に影響したのではないかと思う。このレストランは基本ビュッフェ形式で営業していた。サラダや副菜、パスタ、スイーツなど、大体のメニューはビュッフェ台に並べられており、各自で皿に盛る。店の看板メニューであるシュラスコだけはオーダー式の食べ放題だった。

コロナ下、多くのビュッフェレストランが感染リスクが高いとして窮地に立たされていた。もちろんこの店も例外ではない。客足はぐんと減り、一時営業を休止する事態にまで追い込まれた。

この時期に一度、私たちアルバイト従業員への給料の支払いが滞ったこともあった。大幅な遅れではなかったものの、そこまで経営が厳しいのかと体感させられた出来事だった。店舗は一つしかないし、従業員はそれほど多くない。にもかかわらず支払いを遅れさせなければならないということは、よほど余裕がないのだろうと思った。

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そして、立地もかなり悪かった。JR駅から車で15分。公共交通機関では行くことが難しい場所にあった。アルバイト従業員の多くは車を持っていなかったので、大学や家まで社員さんの車で送迎してもらっていた。ファミリーか会社の集まりらしき客層ばかりだったのも頷ける。車を持たない学生や若者だけでは、気軽に来られる場所ではないのだ。一応送迎バスはあったけど、団体客しか利用できなかったはずだ。

元々の行きづらさに加えて、コロナ禍の影響が降りかかった。生き残れなかったのも致し方ない。けど、惜しい店だったと思う。

看板メニューのシュラスコは絶品だった。出勤する度にまかないで食べられるのが嬉しくて仕方なかった。都会にある同じような形態のお店よりはだいぶ安かったし。ビュッフェ台に並んでいた料理の数々もかなり美味しかった。

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とか言いつつ、私も大学卒業後は1度も訪れていなかったわけだけど。行きたい気持ちはあった。しかし、車を持っておらず、運転も大の苦手な私にとってはかなり来店のハードルが高い。結局行けずじまいになってしまった。

もう口に出来ない、シュラスコをめとした料理の数々をたまに思い返す。札幌に再出店してくれたら、多分私は泣いて喜ぶ。