マッチングアプリは絶対使わない。私の中の密かなルールとして決めている。

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理由は、そこまで恋人や結婚相手を求めていないからだ。多くの人は、いつか結婚したい、30歳までに結婚をして子どもを授かりたいと考えているようだ。小学生の将来の夢でも、お嫁さんになりたい、と言っている児童がクラスに1人くらいはいたのではないだろうか。しかし、私にはその気持は微塵もわからない。結婚という選択肢があっても良いとは思うが、自ら迎えにいくほど意欲があることではないからだ。

生活していくなかで自然と恋人になる運びがあればそれは受け入れるが、マッチングアプリを通してあえて同じ目的を持った異性を探さなくても良い。意図して探さなければ出会わないのであれば、今まで通りの生活で構わないと思うからだ。

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大学時代の友人で、マッチングアプリを通して出会った人と結婚した人がいた。大学時代にマッチングアプリをダウンロードし、使い始め、早々に意気投合したらしい。大学を卒業して以来会っていなかったが、SNSで結婚報告をしているのを目にしたことで結婚を知った。

純粋におめでとうと思う一方で、私にはできない結婚の形だな、と思った。恋愛を視野に、結婚を将来の可能性に入れて出会うという目的は理解できる。いずれは結婚をして家庭を持ちたいという望みも叶えられるので、メリットはあるだろう。私も、恋人として出会う人であれば恋愛ができそうな気はする。しかし、長続きはしないだろうな、と考えてしまう。

ずっと自分の中にあることなのだが、ドラマのように、何かしらの役として恋人や夫婦になるのであれば、全力で期待に応えられるだろう。3ヶ月だけ思い切り好きになってください、と言われれば、努力できる。これが永遠となると、きっと1割のエンジンで動くときや、後退するときもあるだろう。自然に出会って恋をするのとは違って、ブレーキをかけてしまうまでの時間が早そうだという印象を受けるのだ。

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マッチングアプリには、怖い噂やトラップもある。悪用して体目的で近づく人、いい人に出会いたくてプロフィールを偽る人もいる。ネットを通して出会う以上、完全に信じられる人は少ないと思っている。ここまで信じられないことや、不確かなことが多ければ、出会いを求めるためにあえて使う必要はないだろう。次第にSNSのやり取りもしんどくなってくるのが目に見えてくる。

ただでさえ、必要な要件がなければ友達でさえ連絡を取らない私が、出会いを求めるためにチャットのやり取りができるだろうか。考えてみると明らかにできなさそうという答えが導き出された。

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今後も恋愛を目的としたマッチングアプリは利用しないだろう。これからもきっと結婚したいとも思わない。あえて出会う必要はなく、限られた人でも、少ない人脈でも、自分がこれでいいと思える環境であればそれでいい。出会いは自然にまかせて、期待をしないほうが楽に過ごせる。奇遇ですね、を重ねていったほうが、のちのエピソードとしても振り返りやすいだろう。

無理に出会いや恋、結婚にしがみつくよりも、たまたま出会いがあったほうがご縁、運命を感じやすい。これまでの人との出会いもタイミングがあって出会った人たちだ。友達、恋人、仕事でお世話になった人など、然るべきタイミングがあったはず。それを故意に作り上げても、私は満足できない。

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確かにチャンスは自分で作りに行くものでもある。将来の夢に向かうチャンスは自分の努力が必須だが、導かれるべくして導かれたこともあるはずだ。私はこれからも、その天命に身を任せてしまってよいのではないかと思っている。これからもさまざまな出会いがある。そのなかで恋人や結婚相手だけに突出してアンテナを張り巡らせ、出会いを捕まえるマッチングアプリは私には必要ない。私に関わりのないことであれば、それでよい。自分らしく気長に生きていきたい。