「たった今」したいことは何?常に自分に問いかけ、探求する

私にとって「ごきげん」とは、機嫌が悪い状態ではないことを指す。落ち込んだり、イライラしたりしていない、平穏な状態。それを踏まえた上で、ごきげんでいることの難しさ、大変さを私は知っている。
というのも、約一年半ほど前、私はごきげんではなかった。鬱病と診断され、会社を休んでいた。毎日何も気力がなく、ただただ横になるだけの日々だった。自分だけが世界から取り残されたような気分だった。
仕事がしたい、でもできない。仕事どころか家事もできない。趣味を楽しむこともできない。そんな自分がどうしようもなく情けなくなり、涙を流すこともあった。
私がごきげんを探求し始めたのは、そんな日々から脱却するためだった。少しずつでもごきげんになりたくて、少しでもやりたいと思うことをやってみることにした。
あるときはアニメを見た。人が死んだり、悲しい描写は見たくなかったので、ごくごく平凡な日常を描いた作品を選んだ。
あるときはギターを弾いた。アニメに影響を受けてやってみたくなったが、買うと高いし、挫折したという人が大勢いるので、レンタルした。簡単な曲を弾き語りするようになった。とにかく上手くなりたくて、夢中になって何時間でも弾いていた。
あるときは料理をした。買い物は母の担当だったので、母が買ってきた材料をもとに、ネットでレシピを検索して作った。
頭の中で順序を組み立てながら手を動かすのは、余計なことを考える余地がなくなって、頭を空っぽにできた。早起きして妹の弁当を作り、家族全員の朝食を作り、昼食を作り、おやつを作り、夕食を作った。次に何を作ろうか、そればかり考えていた。
いろんなことをやってみてわかったのは、同じことをやってもいつもごきげんになるとは限らない、ということだ。
アニメはお気に入りの作品を繰り返し見ていたが、あるときから内容が頭に入ってこなくなった。ギターは一向に上手くならない自分に嫌気がさし、何分もギターを片手に呆然としてしまった。料理はだんだん義務感を感じるようになり、作ることが苦痛になってしまった。
いろんなことを試して辿り着いた答え、それは、自分の心の声によく耳を傾けるということだ。そしてできるだけ、たった今したいことをする。
やりたいこと、やってみたいことは沢山ある。でも、今したいことはどれか?今の気分はどうか?ごきげんになりたいときは、常にそれを自分に問いかける。
不思議なことに、一度離れてしまったものも、時間を置いて、気が向いたときにやってみるとまたごきげんになれたりするのだ。
だから次にごきげんじゃなくなったときのために、私のノートには沢山のごきげんの方法が書いてある。その中から今できそうなこと、今の気分に合いそうなことを試してみる。
ごきげんの理由はひとつではない。だからこそ探求し続ける。ごきげんの時間を少しでも増やせるように。
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