今日も洋楽を聴きながらスタバで留学に想いをはせる、安定を手放せない私

卵が先か鶏が先か。
理由を見つけるのが先か、飛び込むのが先か。
SNSを流れる海外生活と安定という庭の中でだからできる挑戦。
それぞれを天秤にかけて後者を選択する日々、少しだけ退屈な日々。
新しいことに挑戦しているつもりだが、所詮は家の中でぬくぬく過ごすペットと同義。
怪我したとしてもせいぜい擦り傷程度のこの生活を手放せないでいるのは、外に出たこともない私が警戒心だけは野生のそれと同程度に持ち合わせているからだろう。
結局一歩が踏み出せない、現在進行形で御託を並べていつの間にかワーホリリミット間近な私は今日も洋楽を聴きながらスタバで夢物語の留学に想いをはせる。
「休みの日も色々やってるよね」
「少しは休んだらどう?」
どうやら周囲にはいろんなことに挑戦しているように見えるらしい。
挑戦は、確かにしている。
いつの間にか当たり前になったエッセイの執筆も、新規事業コンテストも側から見たら挑戦らしい。
知らぬ間に確立された挑戦する人というブランディングにありがたいような申し訳ないような。
返ってくるか分からないキャリアやお金を日本において、採算度外視の経験を求めに飛び立つ仲間を見ていると、奇しくも今の生活を捨てることなく挑戦して手に入れてきた安定と土台を捨てることへの惜しさが留学に興味がある私の尾をひく。
留学の解像度が高くないのは、そもそも言語能力が高くない自分が留学を経て何を得られるかということにフォーカスを当てて課題を見つけていないからだろう。
漠然と「楽しそう」だけでは言語という壁を越えられないのだ。
29年間勉強するする詐欺の私が言語を取得して留学をする可能性があるのだろうか。
言語の取得が先か、飛び込むのが先かというループの先に答えはあること分かる。
ループの通過方法?そんなこと私が一番知りたい。
興味があることと実際にそれを実施できるかは別だ。
人は必要に駆られたら否が応でも順応するし、何にでもなれることを弱々しい挑戦の中で私はなんとなく理解している。
だからこそ余計に感じる。留学というものへの興味すらミーハー程度しかないことを。
裏を返せば、安定という土台を手放せずにいるつまらない私ができる精一杯の後押しといえば、今秋の人事面談で海外出向を選択することだろう。
非常にずる賢い、しかし大人が持ち合わせた精一杯の権力行使と言える。
留学というものに立ち返ると、それ自体にタイムリミットはないのだろう。しかし時代というのはいつでも年齢で縛りたがるし、生きれば生きるほど環境のしがらみから抜け出せないこともまた事実。
私も本当はワーホリにこだわらなければ留学という行為について悩むこともないのだろうし、いつか外国に行くことも人生の中であるのだろう。
海外での経験というものが旅行しかない私にとって、現地で生きるという行為が自分の人生にどの程度の影響を与え、変化させるか未知がゆえに手放せないぬるい現実。
結局のところ何を手を手に入れるかなんて自分自身でいくらでも変えられるのだろうということもまた理解している。
そう、人というのは理解できるのだ、理解だけはできるのだ。
留学に限らずアクションとストップの狭間で揺れる29歳という生き物は本当に厄介だ。
とりあえず直近の目標は、海外出向という選択肢を来年度のキャリアに組み込むこと。
今はその行動だけで満点だと自分を褒めてあげよう。
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