やめられない止まらない。かかるストレスに比例して高まる辛い物欲

終電で帰る夜、気づいたらコンビニに吸い込まれ、辛い物を片手に家に着く。
いつしかそれは、仕事が忙しい時のルーティンとなっていた。
辛い物はもともと苦手ではなかったし、むしろ好きな方ではあった。
でも、昔は時間を問わず無性に食べたくなることも、何日も連続して激辛の類を食するなんてこともなかった。
社会人になって、お金にゆとりが生まれるとともに、仕事に追われ、栄養を考えてしっかりご飯を作るには時間と心のゆとりが足りなくなっていた。
否応にも社会人年次は積み上がっていく。後輩がどんどん増えてきて、責任を負うポジションを持つようにもなったこの頃、気づくと、辛い物に手が伸びている。
多分、「辛い物を食べたい欲」は私のストレスバロメーターなのだ。
ストレスを感じると辛い物を無性に欲するし、いつの間にか求める辛い物の辛さレベルも上がってきている。かかるストレスに比例して、上がってきている、そんな気がする。
以前は辛いと思って食べていたはずの商品に物足りなさを感じてしまったり、家にストックしている辛味調味料の消費スピードが格段に速まっていたり、辛さへの耐性が高くなっている、というか感覚が麻痺してきている、そんな気がする。
いつかきっと、私は辛い物の摂取し過ぎで胃腸を壊すんじゃないかと。
辛ラーメンの焼きそばを2日連続で深夜に食べてた日と、胃腸の調子が良くないから今日は胃に優しい物を食べると宣言していたのにも関わらず、無意識にスープに豆板醤を溶かしていた日には流石に自分に恐怖すら覚えた。
それでも、やめられない止まらないな、辛い物。きっと全ては仕事のストレス。(仕事は好き。今は)。
辛いものを食べると、スカッとする。頭の凝りが溶けるような気がする。
実際、辛い物を食べると血行が良くなるし、ストレスを軽減させられているような感覚がある。唐辛子に含まれるカプサイシンには、実際にそのような効果があると聞いたこともある。
そんな辛い物を欲する頻度と、その辛さレベルが上がっていくのは、その摂取量では処理しきれないストレスを、知らず知らずに受けているのかもしれない。
だから、辛い物欲は自分のストレスバロメーターとして、上手く使いつつも、辛い物以外でのストレス処理方法の模索や、ストレス因子を減らすことにも少し真面目に努めていくべきかもと、徐々に思いはじめている。自分の健康を保つためと、仕事を好きであり続けるために。
辛い物欲を正面から辛さレベルだけで満たしていくにはもう、その辺でふらっと買える一般レベルを超えてき始めているから…。あと辛い物は麺とか炭水化物が多かったり、揚げ物とか油を多く使う料理が多かったりと、シンプルに太るし、深夜のカップ麺はどう冷静に考えてもお肌に悪いから…。
20代もしっかり後半となり、25歳を迎えた時に「アラサーだぁ、わぁぁ」とか言って騒いでいた頃とは、環境にも身体にも着々と変化が出てきてる。
30歳の背中が見え始めた今、この瞬間だけを乗り越えれば大丈夫なことばかりじゃなくなってきた。ちょっとした遠出の体力のリカバリーにかかる時間が長くなって、偶に履くハイヒールで脚の震えを初めて経験して、遂には健康診断でE判定が出て、流石に積み重ねが大事な健康に目を向けざるを得なくなった。
環境も、上の様子だけ見て、自分のことをやっていればよかった仕事も、気づけば自分の下にも人が付くようになったり、偉い人と直接対峙する機会も増えて、気を回す対象も遣い方の種類も変わってきた。
そんな現状とこれからを、自分を潰さずに打破していくには、これからも辛い物とはともに生きつつも、辛い物だけに頼りきらない乗り越え方を習得していきたい。辛い物を食べることは、ストレスに対処する一手であって、唯一の手段ではないはずだから。
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