垢抜けたキラキラ女子だらけの大学で、なんか私、圧倒的にダサいなって。それは、決して何か決定的な出来事があった訳ではなく、うすうす悟っていった感じ。 何だか、なすこと全てが上手くいかない。周りの対応が冷たい!(笑)。恋愛対象に明らかに入ってない!
…… 「もしかして、私って可愛くないの?」と、偉大なる鈍感力の私が遂に気付いた。
今まで過ごしていた中高一貫の女子校では、可愛いから得をするとか、ブスは損をするとか、そんな世界じゃなかった。 “女らしさ”や“‘可愛らしさ”なんて誰も追い求めてなくて、クラス全員、平等に居場所があった。
でも、大学は違った。可愛い子は得をして、可愛くない子は空気のよう。まさに透明人間。人権が無いのだ。 高校でこんなこと教えてくれなかった……。
そんな現実に直面した私は、こんな社会おかしい!と思っても立ち上がる勇気はなく、自分が変わるしかなかった。 私も、キラキラな大学生活を送りたかったのだ。
改善の余地しかない私の顔
こうして、私の透明人間脱出計画がはじまった。
それまでの私は……手入れしていないつり眉に、似合わない茶髪。二重幅にドバッと乗せたブラウンシャドウ。これが、 大学に入りたての私の渾身のおしゃれだった。
今、当時の写真を見ると、あんな顔で外に出てたのかと頭痛が止まらない。
そして、何より可愛くないのは鼻が低いからだなと。自分のぺっちゃんこの鼻を憎んだ。どこから手をつけていいか分からないほど、改善の余地しかなかった私。
まずはお化粧が大好きな姉に相談し、眉毛を整えてもらった。しかし、整えるどころじゃない。 イナズマのようなつり眉をザクッと剃り、跡形もなくしたところで、はじめて垢抜けた眉毛が書けることを知った。平行眉の完成。 (ちなみに、もう平行眉の時代は終わったと言われている)
友人たちから「痩せた?整形した?」
そして、禁断の課金、まつエクを装着。 全然顔が違う!!!!写真映りが違う!!!! まつ毛がくるん!!!!目がでかい!!!!
最後は、最難関の低いお鼻。 やれるだけの努力はした。
鼻叩き(鼻の骨は軟骨のため、叩くと高くなるという噂。真似しないでください!)をしたり、洗濯バサミで鼻をつまんでみたり……。でも、高くならなかった。
そんな私を救ってくれたのが、そう。 ハイライトとノーズシャドー!
まつエクの衝撃が再び。 全然顔が違うではないか!!!!
ハイライトを入れたその日に、友人たちから「痩せた?整形した?」と言われたのをはっきりと覚えている。
そんなこんなで、透明人間脱出計画は進み、 だんだんと日々の生活でも良いことがたくさん起こるようになってきた。
一目惚れの人と付き合えたり、バイト中に男子高校生の集団から「可愛い」と言われたり!(笑)。お店でおまけやサービスをして貰えることも増えた。
人生が前よりも格段に楽しくなった。
しかし、「わたしちょっとは可愛くなれたのかな?」と思うのもつかの間。ふと撮られた写真は死ぬほどブスで落ち込むし、相変わらず鼻は低いし、横顔ブスすぎる。
電車の蛍光灯の下で誰とも会いたくない!!!
朝起きて鏡を見て、はんぺんのようなすっぴんにショックを受ける。
ゆうても、お化粧をして完全防備した私も、そんなに可愛くないやん!
……でも、何だか愛おしい(笑)。ぺちゃんこの鼻さえも、段々と好きになってきた。
まつエクもハイライトも、単なる魔法にすぎない。魔法が解けたら、透明人間に戻るんだ。
それもそれで、楽しいからいいかな。
ペンネーム:あんにし りす
上智大学文学部哲学科4年。専攻は美学。卒論テーマは「舞台芸術からみる愛と死」。趣味は高校野球観戦、特に地元千葉大会を全力応援。将来の夢は、小豆島に住むこと。