ファッションは私にとっての鎧だ。とは言っても、パリコレに出ているモデルみたいに奇抜な装いをするわけではない。ごくごく普通に歩いていそうな、ファッション誌でよく見るような服とメイク。なんなら私の服装はよく「きれいめ、女子アナっぽい」なんて評される。女子アナっぽいきれいめな服…戦闘力、低めに見えるでしょ?でも、お気に入りの服は私の最強装備なんだ。

ちょっと弱気な日は真っ黒な服と真っ赤な口紅、憂鬱な日は気持ちが晴れるように鮮やかな緑のスカート、青空が気持ち良く感じられる日には空に映えるように真っ白なTシャツを。私は気分に合わせて装いを変える。RPGゲームとかで敵に合わせて装備を変えたり、パーティを変える、そんな具合に。その日の気分に合った服は、私に力を貸してくれる。

真っ黒な服に身を包み、真っ赤な口紅でキメた時は例えどんなに弱気な時でも、信じられないくらい強気でいられる。

私のおまじない

自信がどうも湧いてこない日はお気に入りの服を着て、お気に入りの化粧品でいつもよりも丁寧にメイクをする。仕上げはお気に入りの香水。自分を鏡で見て「大丈夫、今日も私はかわいい!」と言う。着飾る、と言うよりも「武装する」イメージ。キマったらその日はきっといい日だ。バチバチにキマったオーラをまとえば不安も逃げていくような気がするでしょ?自分らしい格好で私を強くする。それが私のおまじないみたいなものだ。まぁキマらなくてもキメに行くのだけど。どんなに不安な日でもこのおまじないがあれば私は大丈夫。

自分を変えたくて、服を買う

その時の感情に左右されやすいのは化粧品や、洋服を買うときも同じ。ひたすら自分を変えたくて、自分が絶対に着ないような服を買ったこともある。自暴自棄になって買った服はまさかのヘソ出し。今自分で考えてもどうした?としか言いようがない。

初めて手にとったセクシー系の服は私を心配した親友によってクローゼットに葬られた。  

「自立した女性」に憧れて

そんな私だけれど、ハイヒール、それも真っ白なハイヒールはどんな時も変わらずに履き続けている。白いハイヒールは私の中で「自立した女性」の象徴で、ずっと憧れだった。汚れるはずの足元にあるのにピカピカの真っ白な靴でカツカツと音を立てながら颯爽と歩く女性。まさに私の理想だった。

今の自分は「自立した女性」には程遠いかもしれない。だけど、ハイヒールの手入れをしている時には、「明日の私はピカピカの靴を履ける」と得意げな気持ちになれるし、履いている時は背筋が伸びて「自立した女性」に近づけたような気分になる。白いハイヒールはまさに私に自信をくれる最強で最高の装備なんだ。

今日も私は真っ白なハイヒールを履く。理想の自分になれるように、素敵な女性になれるように。