私はカメラを向けられると逃げたくなっていた。自撮りが得意な女子が私はとてもうらやましい。

「はい、チーズ」といわれると、「あれ、どうやって笑うんだっけ」とあわてて、写真を撮られたときには微妙な顔になっている。微妙な顔というのは、私は無理に笑うと目が細まってなくなってしまうのだ。

私の写真への抵抗感はいつからだろう。まず、私の家族は写真を撮る習慣がない。また、私は中学、高校とひたすら部活に打ち込んでいたため、ゲーセンでプリクラを撮る経験もほとんどなかった。写真を撮る機会が少なかったことも、私の写真への苦手意識につながっていると思う。私には、写真は特別な時に撮るというイメージが強かったのである。

女子大学生はこんなに写真を撮るのか

大学生になって写真が苦手なことに、とても困るようになった。友達は写真が大好きで、日常的に写真を撮りたがるのだ。女子大学生はこんなに毎日のように写真を撮るのか!と女子大生になった私は入学当初は驚いていた。

記念日だけでなく、日常的に撮るのが好きなようで、隣で写真を撮っていると気まずくなってしまう。さらに私もいれてもらう(私はあまり撮りたくないのだが……)となると、私だけ微妙な表情になっていて、あとで見返して落ち込んでしまうのだ。

さらに動画撮影まで一般的になってしまった

困ったことに最近はInstagramのストーリーズという日常の動画撮影まで一般的になってしまった。表情だけでなく、どんな動きをするかまで考える必要がでてきた。ストーリーズをよく投稿する人はカメラを平行に動かして周りの人を撮っていくスタイルが多いのだが、私は自分にカメラを向けられたときにどんなポーズをしていいのかがわからなくて、ピースしかできていない。静止画でも困っているのに動きまでつけるなんて無理だ!と内心いつもおもっている。

自分に自信がないなら、フィルターをかけたいわゆる盛れるようなカメラで撮ればいいのではないかと思うが、どうにも私は抵抗がでてしまう。自然な補正をする機能なら私も使うが、別人になってしまうような盛り方は撮る意味がないのではないかと思ってしまうのだ。つまり私は、自然体でいい表情を撮れるようになりたいのだ。

こんな写真嫌いの私でもいい表情が撮れている写真はないかと見返した時、何枚か見つけることができた。それはマレーシアに1カ月間に行ってきたときに撮った写真だ。私にとって初めての海外だったのだが、人生で一番楽しかったと思う。その時に撮った写真はどれも楽しいという気持ちを切り取ったようないい笑顔をしていた。そのときは写真を撮るときも特に身構えていなかったと思う。不意打ちに撮られた写真もなんとなく気にいっている。

これまで、写真は笑顔を撮ってもらうというイメージが強かった。だけど、ぎこちない笑顔をするよりは、ありのままの感情をだしたほうがいいのかなと思った。心から楽しんでないから笑顔ができないのだと思えば少し気が楽になった。これを生かして、集合写真を撮るときも自然体でリラックスした状態で撮影に臨んでいきたい。無理に笑顔を作る必要はないのかもしれない。とはいってもカメラを向けられて笑顔をしないというのは実際は難しい……。
だから、全ての写真がいい表情とは限らないよぐらいの気楽な考え方でいこうと思う。おそらく他の人なんてあまりきにしていないのだから。

ペンネーム:HILL

神奈川県在住のMARCHに通う大学2年生女子。