私の肌は白い。それと対比するかのように私の体毛は真っ黒に茂っている。腕、足、脇にお腹。ほぼ毎日、剃刀で一生懸命処理しているのにどうしても目立つのだ。毎日毎日努力しているのに、何年経っても減ることはない。この文章を書いている真夏、半袖から腕が、スカートから足が露出する。そのぶん、気を遣って自分を磨いている。

小学生の頃に好きだったS君という男の子がいる。S君はとても人気者の男の子で、小学生女子の人気要素である(と私が勝手に思っている)、身長が高い ・頭がいい・足が速い 、を取りそろえていた。そんなS君に私も周りの女子同様恋心を抱いていた。

淡い恋心を打ち砕くひとこと

そんな淡い想いを抱いて1年が経った小学5年生のとき、私は奇跡的に席替えでS君の隣の席を引いたのだ。それはもう小学生の私にとっては宝くじで一等を引いたようなもので、ドキドキしながら席についた。どんな話をしたら仲良くなれるのだろうか、そんなことを頭の中で考えていた。窓辺の席、S君は夏の日差しを浴びながら開口一番こういった。

「毛深いんだね」

彼の目は私の腕を見ていた。私はその日、彼に何も言うことができなかった。  

私はその日初めて毛を剃った。もう二度とあんなことは言わせまいと心に深く誓いながら。そのときまで私は自分の毛を気にしたことはあまりなかったのだ。まだ小学生であったし、おしゃれにこだわる人間でもなかったからだ。

でも私はあの日あの時、「私は毛深い」と好きな人に指摘された恥ずかしさと、負けず嫌いな性格故のそもそも人に指摘された悔しさがぐちゃぐちゃになって私の心に落ちてきた。

私が生きている限り、ヤツも成長を止めない

以来自分のムダ毛処理具合が気になってしまう。剃り残した毛や、また新たに生えてきた小さな毛に「ああまたか……」と落ち込んでいる。少し目立つ毛があると「もしかして、誰かがこれを見て『毛深い』と思ってるんじゃ……」なんて気持ちにもなる。脱毛サロンにも興味があるが、学生のうちは金銭的に厳しいだろう。  

きっと永遠の戦いになるはずだ。私が生きている限り、私の体の一部として自然に成長していくのだから。

ペンネーム:氷岾筆々(こおりやまぺんぺん)

東京の大学生、氷岾筆々(こおりやまぺんぺん)です。名前の通りペンギンに囲まれる生活をしています。