つい最近、初めて髪の毛を刈り上げた。しかもただの刈り上げではなくて蓮の花をモチーフにしたデザイン入りの刈り上げ、所謂バリカンアートというやつ。
そして私はこの新しい髪型をとっても気に入っている。でもこの新しい髪型は自分の気持ちに長い間嘘をつき続けたと認めた証拠でもある。
できない理由を付けて、自分の気持ちに嘘をついて、欲を抑えてきた
バリカンアートは大学生の時からやりたいと思っていたことだった。
私はアメリカの大学に在籍していたが、アメリカの学生は皆ファッションだけではなくヘアスタイルも個性が溢れていた。自分がハッピーでいるために、自分らしさを髪型でも表現する友人たちを見て私も自分のテンションが上がるような髪色や髪型に挑戦したいと思った。
が、日本で女性が刈り上げるといかついというイメージがあるのを感じていたし、刈り上げたらもてなくなるよと言われたので思いきれなかった。
バリカンアートしてくれる美容院が近くにないし。
メンテナンスにお金かかるし。
せっかくここまで髪の毛伸ばしてきたし。
いろいろとできない理由を付けて、自分の気持ちに嘘をついて、バリカンアートに挑戦したい欲を抑えてきた。
この1年半近くはバリカンアートの代わりにインナーカラーで定期的に色を変えて髪型を楽しんできた。会社で「次の髪の毛の色は何色?」と何度聞かれただろうか。
色んな色に挑戦してそれなりに楽しかったが、ブリーチをして色を入れてもすぐに色が抜けてしまうのでそれを繰り返すうちに髪の毛が傷んでバシバシになってしまった。
そろそろ髪型変えたいな…と思ったときに再びバリカンアートのことを思い出した。
もうすぐ24歳になる。この1年、自分は成長できただろうか。去年よりも自分の事を好きになれただろうか。23歳になった時から何も変わってないんじゃないか。そう思うと、やるなら今かもしれないと思った。
自分らしさを大事にすることが、ここ数年の最大のテーマだったのに
バリカンアートに踏み切れない一番大きな理由はやっぱりもてなくなることだった。
私だってなんだかんだ受けを気にする。できるならば万人受けしたいし、いろんな人にかわいいねって言われたい。でも自分のバリカンアートをやりたいという気持ちに嘘をついてまで、それって譲れないことなのだろうか。むしろバリカンアートしている私を好きでいてくれる人を見つければいいだけのことではないのか。
自分らしさを大事にすることはここ数年の自分の最大のテーマであったのに、いつのまにか他人からの評判ばかりを気にしていたことに反省し、バリカンアートをしてくれる美容院を探し予約した。
あんなに迷っていたのに、実際実行するまで数年もかかったのに、刈り上げるのは一瞬で終わった。担当していただいたスタイリストさんには女性の刈り上げをするのは二人目だと言われた。バリカンアートをしてくれる美容院探しにも結構苦労したから、ちょっとした刈り上げをする女性はいてもバリカンアートをする女性はやっぱりあまりいないんだなと実感した。
男受けしなかったけれど、やってよかった。自分らしさを取り戻せた
結論から言うとやはりバリカンアートは男受けしなかった。インスタグラムにあげたバリカンアートの写真を見て「かっこいい」とメッセージをくれる女友達は何人もいたけど、新しい髪型いいねとメッセージをくれた男友達は1人しかいなかった。
でもやってみたいという気持ちに嘘をつき続けるのはやっぱり精神衛生上よくないのでやってよかった。だってやらなければ絶対いつか後悔するのが目に見えている。これは髪型ひとつに限ったことじゃない。社会の目、周囲の目を気にしてできていないことは髪型以外にもたくさんある。そんな小さい嘘の積み重ねはきっと自分に人生を後悔でいっぱいにするし、自分らしさを失う原因になる。
これからいつまでバリカンアートをし続けるかは不明だ。案外すぐに飽きて元の髪型に戻すかもしれない。それでもバリカンアートをやったという事実は「次の髪型どうしようかな~」と考えるたびに、美容院で髪の毛を切るたびに、自分らしさを大事にすることを思い出させてくれると思う。