木村花さんの死はツイッターで知りました。私も自分がレスラーになりたいくらい、レスリングにハマっていたので、花さんの試合の動画を見たことがあり、レスラーとしての花さんのことは以前から知っていました。アニメから出てきたような可愛らしいルックスとは裏腹に落ち着いた渋いパフォーマンスをするレスラーといった印象でした。

死を知ったちょうどその頃、私は別件で炎上中だったので、フォロワーの方から「美穂さんは大丈夫ですか?」と心配するメッセージをたくさんいただきました。花さんが亡くなったことで、LAにいる私にも心配の声があがるくらい、「SNSでの誹謗中傷」という問題にやっと意識が向いたんだなと思いました。

見逃すことが相手の悪意に加担することになるかもしれない

 これまで私は、「しね」「ぶす」などの誹謗中傷に対して、ミュートしてきました。アメリカに住んでいるので、国境をまたいで法的措置を行うことには多大な労力がいることもあって諦めていたんです。また、遠く海を隔てているから、“雑音”に耳をふさぐことができた面もあると思います。

でも、花さんはどうだったのか。自分への誹謗中傷を、彼女は受け流すこともせず、反論もせず、真正面に受け止め、そして、受け止めきれなくなってしまったんじゃないかと思います。それは、想像を絶する苦しさだったと思います。

 花さんの命は戻りません。だから、もう取り返しはつかないのですが、そうした誹謗中傷を放置すれば、相手の悪意に加担し、さらなる悪意を呼び込むことになるかもしれない。私はツイッター上で、「今後は法的措置をとっていく」と宣言しました。 

「法的措置」宣言後、複数の謝罪DMが届いた

その後、匿名の質問箱に「過去に、藤井さんを中傷したリプを送ってしまった」という方からのメッセージが届きました。その方も過去に、自分の容姿を批判され傷ついた過去があったようです。なので、その人が「欠点」と思っていることをポジティブにとらえている私を、うとましく思ったのかもしれません。私はその方に「カウンセリングを受け、自分の過去としっかり向き合って、原因を見つめ直してはどうですか」とすすめました。その投稿をみた、本人から謝罪DMがきました。この人以外からも、謝罪のDMが何通かきました。

私はその方たちにも法的措置をとっていこうと思っています。私が謝罪のDMが来たことをツイートしたら「謝ってるなら許してあげたらいいのに」という反応がありました。なぜ他人が私の傷を深さを勝手に決めて、加害者基準で私に許すことを強要するのでしょうか。謝られても許すかどうかを決めるのは私。それが普通になればこの様な声も減っていくと思います。社会のためにも、いわれなき誹謗中傷をすれば何らかの形で罪を償わなければならなくなるというのが常識になって欲しいのです。

また、「訴えるなんてひどい」という声を聞くことがあります。
裁判はあなたをいじめる場所ではなく、正しい物事を判断してくれる場所です。
訴えられてもあなたが悪いことをしていなければ気にする必要もないことですよね。

「SNSの誹謗中傷にきちんと法的措置をとる」という動きを失速させたらいけないと思っています。実際に、これだけ社会が誹謗中傷を問題視するムードでも、きょうも誹謗中傷のメッセージが10件ほど来ていました。全て証拠として残してあります。「そんなの無視したらいいのに」は誰のためにもなりません。

SNSの声は本人にも届いていることを忘れないで

あなたがSNSで発した声は、ちゃんと本人にも届いているということを忘れないでほしい。誹謗中傷している側からしたら、井戸端会議なのかもしれませんけど、エゴサしたら簡単に見ることができてしまう。じゃあ、見なければいいだろっていうのもおかしな話ですしね。相手が悪いのに、なんで私が変わる必要があるんだっていう。 

有名人に直接誹謗中傷をぶつける人に言いたいのは、「有名人は誹謗中傷なんて小さいことは気にしない」なんて妄言です。有名人も人で、アンチコメントも見て、普通の人間のように傷ついてます。

私は人生の中でネットで誰かを誹謗中傷したいと思ったことがなかったのですが、今回改めて彼らの気持ちを考える機会をいただけたな、とも思っています。

誹謗中傷する人たちは過去に傷ついた経験がある人たちなのかなと感じました。人からジャッジされて欠点を指摘されて、その欠点探しを誰かにもしてしまう。しかし、自分が傷ついたからと言って、誰かを傷つけていいわけじゃない。

知らない誰かに、「お前の価値はこんなもんだ」と言われても、気にする必要はない。一瞬は傷ついてしまうこともあるけど、その人は私の大事な人じゃないし、私の一側面しか知らない。そんな人に何を言われても関係ないなって思います。

でも、そう思える私は日本だとエイリアンくらい、レアなのかもしれない。花さんはきっと、そうは思えなかった。私たちは同じことが二度と起こらぬよう、社会を変えて行かなければなりません。心からご冥福をお祈りします。

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藤井美穂

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