SNSがあるから私の世界は広まった。私は旅行が好きだ。そこにはまだ知らない発見と未知との遭遇があるから。だが、海外にはまだいったことがない。憧れは人一倍強いものの、これは言い訳にしか聞こえないかもしれないが、中々海外に行く機会に巡り合えたことがないからだ。しかしながら、何も旅行とは海外のことだけではないだろう。日本国内を巡ることだって「旅行」なのだから。友人、集団、色々な人と色々な手段で巡った。その中でも私の心に強く残ったことがある。それを今回は紹介してみよう。

高校生の頃、修学旅行で初めて京都に行った時の経験

 私は現在23歳であるが、高校生の時に修学旅行で初めて京都に行った。皆さんもご存じの通り、京都は旅行先でも屈指の人気を誇り、書店に行けばガイドマップやおさんぽマップがたくさん並べられている。そして、京都は外国人観光客にもかなり人気の地で有名だ。
その京都で私たちは着物を着た。先に申し上げておくが、今流行りの「SNS映え」を決して狙ったわけではない。修学旅行という貴重な体験での思い出づくりの為である。私たちはその着物を身に纏い、神社仏閣を散策していた。

 伏見稲荷大社に訪れたときのことである。私たちが話をしながら散策していると、ある欧米のグループが近くに来た。そしてこういった。「Can I take a picture?」英語が苦手な私でもジェスチャーで察することができたので、「Sure!」と言い、写真を撮ってもらった。写真を写した欧米グループの一人は笑顔で「ありがとう」と片言の日本語で言いながら去っていった。何故有名人でもない私たちを写したのだろう?よもや着物美人に見えたのでもあるまい。きっと日本文化を学びたい外国人観光客にとっては抜群の被写体だったのだろう。そう思いながらまた歩き出した。

「写真をSNSに載せてもいい?Facebookのアカウントは持ってる?」

 今度はアジアから来たであろう観光客がトコトコとやってきて、「would you please take a picture with me?」と言った。だが、はっきり言って私には全く聞き取れなかった。英語が得意な友人が一緒に撮ってほしいみたいよ、と教えてくれたので、「OK!OK!」と言い、もうここまできたら有名人のような気分である。「あれ?私ってモテるのか?」と変な自信を持ちながらカップルの横に並んでピースをした。すると「Thank you」と言ったので、「you’re welcome」と立ち去ろうと足を進めようとしたときである。カップルの女性の方が「Mind if I upload your photo to my social media?」「Do you have a facebook account?」と言った。無力な私には当然のことながら全く聞き取ることが出来なかったが、流石友人だ。「この写真SNSに載せてもいい?フェイスブックのアカウントは持ってる?」だって。と教えてくれた。

 私は正直怖かった。フェイスブックのアカウントは持っているものの、なにしろ自分の画像が世界中に広まることになる。見る人はいないだろうが、悪用なんてされたらたまったもんじゃない。もしこのカップルが悪用すれば私の個人情報が漏洩するかもしれないと疑心暗鬼になった。しばらく考えたが、一歩踏み出してみても良いかもしれない。もしかしたらこれをきっかけに交友関係が増えるかもしれないと考え、「OK」と承諾し、友達登録した。

使い方さえ間違えなければ、SNSから広がる世界がある

 ホテルに帰って先ほどの女性のフェイスブックを開いたところ、そこには笑顔の私たちが映っていた。自分は恥ずかしくなるくらいに得意げな笑顔であったが。少しほっこりした気分になって、スマホの方にも画像を保存した。考えてみれば、この笑顔を見ることが出来たのもフェイスブックというSNSツールがあったからなのだ。そして一歩踏み出す勇気があったから。現代ではインスタやツイッターなどでも友人がどんなお店に行ってどんなものを食べたのか知ることもできる。当然のことながら裏があるわけで、様々なトラブルに巻き込まれたり、SNSを使った事件も後を絶たない。だが、SNSをただ悪の権化のように考えているのは勿体ない。使い方さえ間違えなければ、SNSは自分の見識を広めることや、私のように交友関係が広まることに繋がる。SNSを通してそこから広がる世界があるのだ。