わたしは、「引きこもり」八年目である。
高校ニ年生のときに不登校になった。それから引きこもっている。と言っても、世間のイメージとはかけ離れていると思う。わたし自身でも、「自分は引きこもりではない」と考えていた。ずっと自分の部屋にいて、暗い部屋の隅で体育座りをしているイメージだったから。
ところが、わたしは旅行もするし、友達とも遊ぶし、在宅ワークで微量ながら収入を得ている。ただ月に1回しか出かけないだけだ。

周囲の偏見、親の無理解。生き方の選択肢って、1つじゃないのに

近所のひとや親戚からは「部屋から出てこなくて、仕事もしていなくて、引きこもりニートだ」と、誤解されている。家にずっといる=引きこもりニート という価値観を持っているひとからは、勘違いされてもしょうがないと諦めている。事実、平日は部屋にこもりきりで月に1回しか外出していない。

親にも説明したが、理解してもらえない。「普通に外に出て働くか、学校に行って。あんたが在宅ワークでやっていけるはずないやろ」と、言われる。わたしだって、何度も母の言う”普通”になろうとした。

8年間の間に大学にも行ったし、精神科に行って治そうとしたし、カウンセリングも受けたし、復職プログラムにも参加した。

その結果、大学は通学できなくなり、精神科では「うつではない」と社会不安障害と診断された。カウンセリングを受けるうちに、両親が「毒親」だとハッキリ認識したし、復職プログラムではトラウマを鮮明に思い出してしまい通えなくなった。

学校に行っているときは、何か失敗すると「そんなことでは社会でやっていけないよ」と発破をかけられていた。でも、社会に出るってなんだろう。二十歳になると強制的に会社員になるわけではない。

世の中には色んな働き方をしているひとがいる。

動画投稿やブログ運営で生活しているひともいれば、
自営業やフリーランスで生活しているひともいれば、
株や家賃収入で生活している人もいるし、
夢を追いながらバイトをして暮らしているひともいた。

それら全てのひとたちが社会に出ているのではないだろうか?

心のどこかで、「家から出て働かなくては」と思う自分もいた

こころのどこかで「一度は社会に出て、正社員として働かなければならない」と、考えているところがある。だから、完全在宅ワークではなく、たまにバイトをして外で働くようにしていた。もちろん向いていないので長くはつづかない。そのたびに、完全在宅ワークに戻り、落ち込んでいた。

世間的にもそうなのかな、と思った理由もある。

ブログ運営で月十万も稼ぎ、暮らしている"引きこもり"のニュースをやっていた。キャスターは「はやく社会に出られるといいですね」とコメントしていて、疑問を感じたことがある。その暮らし方はダメなのかな。

それで暮らしていけてるならいいじゃんと思ったし、できるならそう生きたいと切に願った。月十万を稼ぐのはかなり難しいことである。わたし自身もブログをやっているから分かる。勉強をまったくせずに、好きなことだけを好きなように好きなときに投稿して、稼げる額ではないこと。

いま、社会の変わり目が来ている。自分を信じて生きていくと決めた

ところが、今年の3月中旬に状況が一変。コロナウイルスで外出自粛要請が発表された。正直、これには何とも言えないモヤモヤを感じている。だって、いままで散々、引きこもりを否定してきたくせに、今更「家にいる方がいいです」なんて理不尽だと思う。

でも、このことをきっかけに、わたしの生き方について家族が理解してくれようとしている。世の中でリモートワークや在宅ワークが推奨されて、そういうひとたちが増えた。それに伴って、「そんな働き方もあったんやね」と言ってきたのだ。

いまは”社会の方から変わってくれるチャンス”だと思い込もうとしている。

もしかすると、引きこもりがアドバンテージになる時代がやってきたのかもしれない。外出自粛要請が出ている、いまがチャンスだ。決めた! 

親の言いなりにはならない。自分を信じる。
いままで自分がやっていける自信がなくて、保険を掛けていた。ひとに決められると言い訳ができるけれど、自分で決めると言い訳できないことが怖かった。

家にいる引きこもりだからできる、在宅ワークで生きていく。