私は今年28歳になる社会人歴6年目の女子だ。私には兄と弟がいる。
両親も健在だ。私達家族は基本的に仲が良く、社会人になっても、家族で台湾旅行に行ったり誰かの誕生日には出来るだけ一緒にお祝いするようにしている。

料理も洗濯も、いつも当たり前にやってくれるのは母親だった

私は現在、実家を離れて一人暮らしをしている。

家族といると楽しい事もある。家族で花金に放送される映画を観て盛り上がったり、
美味しい果物を母が切り分けたり、父がお酒を買ってきて、一緒に呑んだり。
そんな仲の良い家族の元を離れてどうして一人暮らしをしているのか。

一人暮らしを決意したのは、一人で自立したかったからだ。
実家にいると、母になんでも頼ってしまう自分が嫌だった。
料理も洗濯も買い物も母がいつの間にか行っていた。
当時は当たり前の事としか思っていなかった。
帰宅すると、夕飯が用意されており、私は自分のご飯を茶碗に盛り、母が作ってくれたおかずを食べて、使った食器をシンクまで運んで、後は自由時間だ。
その後の食器洗いとか、母がやってくれるだろうと無意識に思っていた。

「女の子だから」っていう理由で家事をしなきゃいけないのが嫌だった

昔、私が小学生くらいの頃から、母は私に「女の子なんだから、料理くらい手伝いなさい!」と言っていた。
私は素直に従った。けれど、私だって、漫画や本やテレビが見たい時に、女の子なんだから手伝いなさいと言われると、今していた事を邪魔されて、不機嫌になったりもした。

この時私は、どうして女の子なんだから料理を手伝わなくちゃならないのか疑問だった。私達きょうだいは平等だとずっと思っていた。だから、きょうだいの中で唯一の女の子である私だけが、母から手伝いを要求される事がものすごく嫌だった。

「兄や弟にも同じこと言ってよ!」

と私は母に言ったら、母は渋々、兄や弟にも声を掛けていたが、二人はすぐに手伝いに来なかった。

私が手伝わないと母は一人になってしまう。
母は一人で料理を作って、盛り付けて、運んで、箸や取り皿を用意することになる。
それはかわいそうだと思った。
だから、私は母の料理の手伝いをした。
母が一人で頑張っている姿をみていたら、私も手伝って少しでも楽にしてあげないといけないんだと思ったから。

それでも、私は、やっぱり、母のいう「女の子なんだから」という一言に納得出来なかった。
どうして私は女の子なんだろう。料理も出来ないとお嫁に行けないよとか、これぐらい女の子なんだからちゃんとやらないとダメだよという母の一つ一つの言葉が苦しかった。

どうして兄や弟にはいつも言わないのに、私にだけ、家事を手伝いなさいっていうんだろう。
私だってしたいことがいっぱいあるのに、性別で分けられてしまうことが理不尽に思えて、わけもわからず、反発して、私は嫌だから兄や弟に言って!と母を拒否した。

徐々に母の手伝いをきょうだいでするようになった。週毎に食器洗い担当を決めたり、兄は洗濯が好きなので、勝手に洗濯機を回したり、弟は風呂場の掃除をしたり、私は野菜を切ったり、食事の準備をした。

一人暮らしをするようになって、家事の大変さを改めて思い知った。
自動的に何もかも出てくるなんてあり得ない事だったんだ。
一人分の食事を作るのにも、こんなに大変なんだと思った。ましてや家族5人分の夕食をいつも必ず作ってくれていた母に感謝した。

だから、一人暮らしを始めてから、実家に帰った時には、なるべく家事を手伝うようになった。母は私が帰ってくる事が嬉しいから、別に手伝わなくても良いよとは言ってくれるけど。

家事をするのに、男も女も関係ない。そんな世の中になればいい

母が私にだけ家事を強制したことは、ジェンダー・バイアスによるものなんだと思う。でも、それは古い考え方で、女性差別だと大人になって認識した。私はこの過去の経験から、男女どちらも生活をする上で家事や料理、洗濯などのスキルは必要不可欠で、女性だけが積極的に行うものではないと思う。

だから、私は、それを母にも伝えている。家事なんて自分のだけすれば良いんだよ。お父さんなんて放って置けばいいよ適当にご飯食べるから、無理に作らなくても大丈夫だよ。もう大人なんだし。お母さんは自由にして良いんだよと。

なかなか、父による家事への非協力的な態度によって、上手くはいかないけれど、ちょっとずつ変えていけると思う。