私は、中学高校とずっと勉強してた。大学に入ってから勉強をしなくなっても彼氏はできなくて、気づいたら21歳になっていた。私はとにかく焦っていた。「彼氏ができないのは、私が可愛くないからだ」と思って、一生懸命ダイエットして、毎日お洒落して大学やバイトに行ったけど、自分が付き合いたいと思う男の人とはなかなかいい感じになれなかった。私は「誰かと付き合った過去が欲しい」「早く処女を捨てたい」そんな気持ちで日々を過ごしていた。

就職活動中に出会った彼と付き合い始めた次の日に「処女」を捨てた

大学3年生のとき、就職活動中に出会った有名国立大の同級生の男性と付き合い始めた。

私は東京に住んでいて、彼は大阪に住んでいたから、遠距離だった。彼のことは正直そんなに知らなかったし「好き」っていう感情を抱いているのか、自分でもよく分からなかったけど、彼氏がいるっていう実績欲しさと彼の肩書きのよさに惹かれて付き合った。

付き合い始めた次の日に私は、池袋のラブホで処女を捨てた。

処女の呪縛を解いたのは、肩書きだけの男だった

今思うと彼にとって私は、東京で就職活動をする際に都合のいい存在だったのかもしれない。私の祖母の家は池袋にあって、祖母は施設に入っていて、家には誰もいなかったから、無料で泊まることができた。彼は、企業から遠征費と宿泊費をもらいながらホテル代を懐に入れていた。

彼はよく自分が貧乏であることを口にしていた。その割に外食が多くて、節約していなかった気がした。私は比較的裕福な家庭で育ったから、そのことに口は出さなかった。ただ、育ってきた環境が全然違うことを日々感じていたし、彼もそれは同様だったと思う。同様どころか向こうは私の恵まれた家庭環境を憎んですらいたように思う。

彼は、私の話にあまり興味がなさそうだった。いつも自分の苦労話や自慢話ばかりしていた。
彼を思い出すと、嫌なことばかりだ。「いつも食事は割り勘だったな」「就職が決まった瞬間に電話で別れを告げてきたな」とか…。「付き合ったのが無意味だったな」とも思う。

処女だった頃の私は、相手に理想ばかりを並べていた

ただ、不思議なことに“処女を捨てた”ことへの後悔はない。私は「処女」という重たい鎖に縛られていた。でも、その鎖を断ち切る相手は、私には誰でもよかったのだと失って気がついた。
処女を捨てて、私は自由になれた。処女のときは、相手に対して色々ハードルを上げていたけれど、処女を捨ててからは色んな条件を付けて肩書きで選ぶのをやめることができた。人間にとって大切だと思える要素がこれまでよりも見えるようになった気がする。
初めて付き合った彼のことは、今でも嫌いだし、これからも嫌いだと思う。だけど、とりあえず私は身軽になれた。

処女か処女じゃないかって、本当はどうでもいい。
ただ、少しでも処女であることが懸念事項なら、思い切って呪縛を解いてもいいと私は思う。