貴方は私をわかってない。
貴方が好きだといった曲も、貴方が好きだといった服も、貴方が好きだといった口紅の色も…全部私の嫌いなもの。
それに、貴方の嫌いな曲も、貴方の嫌いな服も、貴方の嫌いな口紅の色も…全部私の好きなもの。

でも、そのどうにもならない2人の違いが、私は大好きだった。

私が嫌いでも、貴方が好きなら好きになれた。
通勤には貴方のオススメした曲を聴いて、試着室では貴方のことを考えて、いつも貴方を感じていた。
貴方が好きといってくれたものは、私のお気に入りになって、私も貴方の好きなものを好きになった。

貴方との思い出。捨てたいけど、まだ私にはできない…

でも、貴方がいない今、それら全て嫌いになった。

最初から好きではなかったけど、もっと嫌いになった。
なのにプレイリストに追加した曲も、貴方の好みに合わせた服も、貴方がくれた口紅も…まだ残ってる。捨てられない。
貴方と聴いていた曲は貴方との時間を思い出させるし、貴方の好きだといってくれた口紅は貴方とキスした日を思い出させる。

貴方を思い出して、悲しくなる日が続くなら「捨ててしまえ」と思うけど…、まだ貴方との思い出を無くしたくない。
人づてに聞く貴方のこと、懐かしくて会いたくなって、手放してしまったことを後悔しそうになる。
「未練タラタラだよ」と聞くたびに、そんなはずないとごまかしては少し期待してしまう。

貴方と違って、私に寄り添ってくれる新しい彼との出会い

貴方より余裕があって優しくてよく笑う、私が好きなものを好きな人に巡り会えたのに。
彼は貴方と違って、一緒にいて気を遣わない。
「価値観合わない」なんて言わないし、私に寄り添ってくれる。
愛情表現が多すぎるくらいマメにしてくれるし、私の変化にすぐ気づいてくれる。
だから、私も寄り添おうと思うし、大切にしたい。

貴方が劣っていたとは思わないけど、私たちに「寄り添い合いたい」という気持ちは、持ち合わせていなかった。

本気の恋は失ってからわかる。「あの恋、本気だったんだ」

まだ彼と出会って数ヶ月だけど、貴方を思い出す日がだんだん少なくなってきたのがわかる。

“本気の恋”は、そのときはわからないけれど、終わってみて「本気の恋だった」とわかる。
私は貴方が好きだった、全部知ってほしいと思った。
もちろん私も貴方の全部が知りたかった。知りたいと思いすぎたのかもしれない。
でも、最後の日のあの涙の理由がまだわからない。貴方から別れを切り出したのに、どうしてあんなに泣いていたのか。初めて見た貴方の涙がいまだに忘れられない。

別れた人の涙の理由なんてわからなくてもいいのかもしれないけれど、まだ私が貴方を忘れられないのは、貴方の最初で最後のあの涙のせいなら、教えてほしい。