迷ったら、とりあえず買ってみよう。きっと使うよ。
買い物に対する私のマインドはそんな感じだ。買うか買わないか迷ったら、結局買ってしまうのである。つまり、私は浪費家だ。
大学生になってすぐの頃、アルバイトを始めたことで、それまでよりも自分が手にする額が増えた。頑張れば頑張る分だけお金が手に入るアルバイトに魅了され、大学に入って1年は身を粉にして働いた。はずだったが、どうしてか貯金がたまらない。原因は浪費癖にあることは明白だったので、嫌々ながらもスマートフォンに「支出管理アプリ」をインストールした。
支出管理をしていくうちに貯金に成功。貯める楽しさにはまっていく。
早速アプリを使って一か月、効果は表れた。例えば学校からの帰り道にちょっとコンビニに寄るのをやめたり、コスメの新作の衝動買いをやめたり…である。みるみるうちに銀行口座には貯金が増えていった。
結果がすぐについてくる感じが嬉しくて、「もっと!もっと!」とさらに上を求めるようになっていった。
始めてから3か月後には、友人たちからのランチやディナーの誘いに対しても少し考えてしまうようにまでなっていた。別に友人たちと話すのが嫌なのではない。私の中での優先順位は友人たちより「貯金が増える嬉しさ」に向いていたのだと思う。
結局、皆でご飯を食べに行っても、少しだけ罪悪感を持って過ごすようになっていた。心から楽しめていない感じがした。
いつの間にかお金に支配されていた自分に気付く
ある日、何となく付けたテレビから聴こえた言葉が私の心に響いた。
「もちろん人と違って裏切らないよ、お金は。けどね、お金は困ったときに助けてくれるかもしれないけど、限界があるんだよ」
そんな当たり前の言葉だったが、当時の私には響いた。どうして気づかなかったのだろう。
貯金額の増減に一喜一憂している私の生活は、お金に支配されてしまっているではないか。友人とお金を天秤にかけてしまうほどである。浪費家という私の性格を克服しようとしたあまり、かえって私はお金に翻弄されていた。
心機一転、私は例の「支出管理アプリ」を消した。それまでの貯金モチベーションを劇的に上げてくれていたこのアプリを手放すことに不安を感じた。どうしよう、私ちゃんと節制できるかな。他人にしてみれば、「お金を使わないようにする」なんてきっと中学生からできていることだろう。だが私にとってみれば、欲しいと思ったものを買わないように努力するのはアプリを使ってやっと理想通りにできていたことであって、自分一人になったらできるかどうか、とても心配だった。
「貯める」ことじゃなく「お金との良い付き合い方」が大事
そこで私は中期的な目標を決めて、そこに向かって必要な額+αを貯金することにした。必要な総額を月で割って、毎月給料からあらかじめその額を引いてしまうことにしたのだ。とりあえず決めたのが「短期留学」である。
絶対に自分のアルバイト代で満額払うという目標で、貯金を開始した。そして見事、目標を達成してさらには短期留学にも行けた。良いことづくしである。
お金は生活する上で大切だ。
だが、それは「貯金」が大切なのではなく、お金との良い付き合い方を身につけることが大切であるという意味であることを学んだ。