バイト中に始まる生理なんて、最悪だ。
私は立ちっぱなしのバイトをしているんだけど、途中から気づいてしまった。
パンツの中の濡れ。気持ち悪さ。
膣からタラ~と流れ出る、生ぬるい液体。お腹に力を入れると、さらに流れ出る。
そして、今までの経験的に分かる…穿いているジーンズまで汚れているだろう。
生理とは長い付き合いだから、誰よりも分かっている。
ああ体の内部から、えぐられてる感じでお腹が痛い。
バイト中だから、変な行動は出来ない。
でも、体がぞわぞわっとし、全身の注意がそこに向かった。
バイト中はエプロンをしているから気づかれないとは思うけど…。
それでも、後ろから見えているかもだよな。今回量多そう。
ジーンズは割と色が明るいし、見えてるんじゃないだろうか。
今いるスタッフは男性ばっかりなのも、本当に嫌。
イライラや悲しみを「生理」のせいにしてしまうのは、わがまま?
最近はSNSでも、“生理を楽しもう”だなんていう標語を見たけれど、やっぱりイライラするんだよね。馬鹿食いしてしまうんだよね。
下半身から流れ出る生ぬるい液体を感じながら、どうしようにもない気持ちになって、途中泣きそうになった。
今日のバイト代がいくらか考えると、さらに嫌な気持ちになった。
数日前から少し情緒不安定だったのも、食欲が止まらなくて色々食べてしまっていたのも、やっぱり生理のせいか。
私は年々生理痛がひどくなっていて、20代に入ってからは痛み止めなしでは立っているのもしんどい。
痛み止めの薬を忘れた日なんて、痛すぎてお腹に振動が伝わらないように体をかばいながら、なんとか1日をやり過ごす。
また、生理特有のイライラにも敏感だ。
バイト中も自分でも驚くほど冷たい声での返事と余計なことを言ってしまった。
教えてくれた社員の男性に対して、いつもならしないようなとっても嫌味な感じで返事をした。
普段なら、普通に「ありがとうございます」って言っているはずなのに。
だって、今の私はいつもの私じゃないの。
生理でイライラしてて余裕がないから、きついこと言うかもしれないけど、許して。
だって、自分じゃどうしようもないの。
お腹が痛くて、気分もよくなくて、考えもネガティブで、しんどすぎ。もう無理!
そう心が叫んでる時も、現実の私は完璧なポーカーフェイス。
何食わぬ顔して、日常をやり過ごしているプロフェッショナル。ははん。
生理と何年も付き合っている世の女性たちは、本当にすごい!
社員の彼にこう言ったら困っただろうか。
「さっきはごめんなさい。嫌な感じでしたよね。生理のせいでイライラしてて。でも男性であるあなたには分からないですよね」
そんなこと言える度胸もないし、彼は返事に困るだろう。
それは相手の立場に十分な思慮が及んでいない、浅はかな言葉だから、とても失礼だって分かってはいるけれど。
それでも、そんな意地悪な考えが浮かんできてしまう。
そんなイライラをおくびにもださない世の女性たち、すごすぎませんか。
街中に出て、1日に出会う女性の内、一体何人が生理中で調子が悪いことか。
彼女たちは、生理日を考えて予定を立てたり、生理がついても大丈夫な色の服を選んだり、痛み止めや生理用品を予定日前から所持していたり。
そんな見えない努力をしているのだ。
それでも、出かけ先に生理用品を持ち合わせていなくて困った経験、女性なら誰もにあるでしょう?
私たち女性にとって生理の経血は、誇り高くて愛すべき存在だ!
以前、都会の街中で、経血がズボンについていた女性を見かけた。
友達と短い会話が交わされた。
「あの人、経血ついてるよね。教えてあげた方が良いかな」
「そうだね、でもちょっと遠いよね…」
その女性は、混みあった交差点で見かけたけど、歩くのがとても速かったのと、周りに人が多すぎたのもあってすぐに見失ってしまった。
あのズボンについた経血を見た街の人は、どう思うのだろう。
気まずい思いを抱くのだろうか。
でもあれは、決して恥ずべきものじゃない。
“見てはいけないもの”、“汚いもの”じゃない。
女性の誇りだ。
気高い色だ。
「生理で汚れた」なんて言われるけど、「汚れなんかじゃないよ」と私は言おう。
生理は、私たちに毎月訪れる大切な時間。
経血は当たり前に出てくるもので、体が健康な証拠。
バイトから帰ってジーンズを見てみると、案の定経血が結構ついていた。
愛おしいなあ。
人間の体って、どこまでも神秘的だ。
経血は渇くと赤紫っぽくなる。
そして、素敵な健康のシンボル。
愛でようではないか。