最近友人が髪の毛を染めた。写真を見せてもらったがすごくきれいな色で素敵だった。その友人は、髪を染め、かつバイトを続けるためにウィッグまで買って…。その姿を見て、私は正直とても格好いいと思った。

それと同時に、私は興味本位で3回髪を染めたことを思い出した。でも私はもう髪を染めない。そう決めている。綺麗な黒い髪は私の自慢であり、宝物だから。

高3の時、私は初めて髪を染めに行った

この髪の毛が自慢になるきっかけとなったのは小学校の時、叔母の家に泊まった時だった。お風呂に入って、髪を乾かす段になり、叔母が乾かしてくれることになったが、いきなりドライヤーを向けた彼女に私は待ったをかけ、ポーチの中からヘアクリームとオイルを出して髪に塗った。その時彼女が言った言葉を私はまだ覚えている。
「mononoの髪、そうやってお手入れしてるから黒くて綺麗なんだね!いいなぁ」と確かそう言っていた。

まだ鮮明に思い出せるのはきっとすごく嬉しかったからだろう。嬉しかったけれど、いつか髪を染めてみたいとも思っていた。黒い髪以外の自分も見てみたかったんだと思う。だから、それから時がたった高3の時、私は初めて髪を染めに行った。最初は怖いから暗い色にして。

すっかり色落ちした茶色い髪の私を私自身が許せなかったんだ

そしてその年の4月、私は大学に入学した。たくさんの人に出会う中、私は染めた髪に気づいてくれる人もいるだろう、ううん気づいてほしい、そう思っていた気がする。だが実際は誰もいなかった。それも染めているのを私が言うと誰もが驚いた。「染めてないと思ってた」って。それがすごく悔しかった。そして11月また染めに行った。今度は絶対気が付いてももらいたくて一段明るい色にした。そうしたら気づいてもらえたが、なぜか「満足」しなくて、マイナスに響いた。

時が経つにつれ色落ちし、周りに「また染めた?」と言われるようになり、その言葉は私にまたなぜかマイナスに響いた。私は髪を染めたことに気づいてほしかったんじゃないんだろうか。でも、染めて気づいてもらったときに満足しなかったこと、色落ちして茶色くなった私の髪について他人から言われたこと、どっちにも嫌気がさした。その嫌気について考えていた時、はっと上の叔母の言葉を思い出した。そして同時にこう思った、黒くて綺麗な髪を持っているのが私だ。だからすっかり色落ちした茶色い髪の私を私自身が許せなかったんだなって。

そして次の年の7月黒染めをしに行った。染めるのはこれで最後にしようと決意して。染め終わってすっかり黒になった私の髪、すごく素敵で、私らしかった。初めて、自分の髪の毛の色に誇りを持てるようになり、好きになった。

根元だけだけどすごく綺麗な黒髪、それが私の宝物

それから一年、私は一回も髪を染めていない。染めようと思ったこともない。最後の黒染めもすっかり色落ちして毛先はめっちゃ茶色くて、たまにそれが嫌になるけど。染めてみたかったあの時の衝動として覚えておく大事な材料になるからいいや。3回染めたのが若気の至りだった証拠になるからさ。

染めないことを決めてからの一年の間に「色落ちやばいんだよ」って友達に髪を見せたことがある。そんなときその子は「毛先は超茶色いけど根元はすごく綺麗な黒じゃん。羨ましいな」なんて言ってくれた。すごく嬉しかった。根元だけだけどすごく綺麗な黒髪、それが私の宝物。