私のおじいちゃんは、3年前に95歳で亡くなった。大好きな大好きなおじいちゃんだった。
小さい頃、おじいちゃんの家に遊びに行くと、いつも昔話をしてくれた。夢溢れているおとぎ話ではなく、現実に起きた恐ろしい昔話だ。
戦争の話を聞いて泣き怯えていた私に、おじいちゃんが言ったこと
おじいちゃんが20歳の時、徴兵され中国へ赴くことになった。まだまだ若い青年だった。あの『赤紙』といわれる召集令状が届いたのである。
日章旗に家族や友達から「頑張れ!」と書いてもらい、それを肩から斜めにかけ、みんなに笑顔で送り出してもらったと聞いた。
中国では銃撃戦にもなったようで、おじいちゃんの眉毛のところにはその銃撃戦で飛んできた金属の破片が埋まっていた(私が大人になるにつれ、嘘なんじゃ…?と疑っていたのだけど、入院した時にレントゲン写真を撮ったら本当に金属があったらしい。病院の先生も何でこんなところに金属が?と不思議がっていたと聞いた。疑ってごめん)。なかなか激しい銃撃戦だったらしい。
こんな話を小さいころから聞いていたもんだから、小さいながらも戦争は本当に恐ろしいものだと理解していたし、いずれ赤紙が本気で家に届くと思っていた。話を聞いた後「赤紙が届いたらどうしよう…」って毎回泣きながら怯えていた。そんな時、決まっておじいちゃんは優しくこう答えてくれていた。
「大丈夫だよ、日本はもう戦争をしないって決めたんだ。憲法というものでちゃんと守られているんだよ」
「戦争というものを絶対に経験させてはならない」という約束
当時は意味をあまり理解できていなかったのだけど、おじいちゃんの口ぶりから何となく「もう大丈夫なんだ」って思っていた。そして私は、随分と長いことその言葉を御守りのようにしていたと思う。世界で不穏なことが起きる度、戦争の足音に怯えつつも「憲法で守られているもんね」と安心していたのだ。
…だけどなんだかこの頃、その御守りが消えてしまいそうな気がしてる。
平和憲法とも言われる憲法を改正しようという動きがあるからから。
正直、憲法を改正した方が良いのか、そのままにするべきなのかは未だに分からない。きっとどちらにもメリット、デメリットはあるのだと思う(この辺りはまだ勉強しきれてないので割愛させていただきます)。
変えるにせよ、変えないにせよ、どちらの選択をするにしても。今を生きる私たち、未来を生きる人たちに、戦争というものを絶対に経験させてはならない。それは当時を生きた人たちとの約束でもあるのだ。
おじいちゃんにもらった御守りのように、私も未来に平和を託したい
だから憲法に、平和な未来を託したい。あなたが未来の人たちを守ってあげてね。
私がおじいちゃんから御守りをもらったように、この先の未来を生きる誰かの御守りになってほしいから。
ねぇ、おじいちゃん。
今の私たちは正しい道に進んでる?