私は今年の夏、オフショルが着たい。
オフショルとは、オフショルダーの略です。肩やデコルテ、背中の一部が露出したお洋服のこと。
以前は着たいと思えませんでした。肌の露出なんて恥ずかしいし、デコルテや背中にニキビ跡があるからです。
しかし、自分でも分からないのですが着たくなりました。
自分に自信がついたからというわけではありません。
肌が綺麗じゃない私は「オフショル」を着る資格がない
Twitterを見ていて、気になっていたオフショルなどを買いに行ったある日、試着室で事件が発生しました。
買う予定だったワンピースを試着した時、肩の下あたりに湿疹のようなものができているのを鏡越しに発見しました。びっくりしました。
次の日、皮膚科に行ったところ帯状疱疹と診断されました。
とても、ショックです。ええ…ショックでした。
なぜなら「背中を綺麗にしてからオフショルを着るんだ」と決意していたからです。ケア用品も買っていました。
元からあるニキビ跡から、追い討ちをかけるようにできた帯状疱疹で、私にはオフショルを着る資格はないと思いました。
肌が綺麗じゃなきゃオフショルを着ちゃいけないって思っていたけど…
大学で社会問題やコミュニケーション、文化などを学んでいた私は、卒業してから頭にある情報が古くなってきたことを自覚しました。
そのため、昨今よく見かけるフェミニズムや社会で何が問題になっているのかを知りたくなりました。
とっかかりとして、ある動画サイトで目に留まった“ルッキズム”を特集した番組を観ました。
ルッキズムとは、見た目のことで偏見や差別を受けることです。
また、後日、ルッキズムについて別の動画を観ました。
そこで私は、見た目がどうであれ、自分自身が「オフショルを着たい」と思えば着ていいという考えが生まれました。
だが「こんな私が…」という思考が邪魔をします。様々な人の目が怖いのです。
また「肌を綺麗にしてからオフショルを着たい」という考えは、なぜ生まれたのかという疑問が浮上しました。
疑問を解決するべく、自分のことを振り返りました。
幼い頃から今に至るまで、メディアから刷り込まれたルッキズムと母がいいと思った服しか買ってもらえなかった過去が影響していると推測しました。
しかし、好きなお洋服を着たい自分が確かにいます。
ルッキズムについて少し知識を得た私は、オフショルを着たいのか着たくないのか、本当の気持ちが迷子になりました。
迷子なりに、そのことについて考え抜きました。
結論としては「自分が心から着たいと思える日が来たら、その時に着る」です。
お洋服は誰かの意思は関係ない。自分で「選択」できるんだ!
私がオフショルを着られる日が来るかどうか分かりません。
それでも、どんな外見であろうと好きなお洋服を着てもいいし、着たくないお洋服は着なくていい。
誰かの意思など関係なく、自分で選択できる。
このことに気づいてからは「肌を綺麗にしてからじゃないとオフショルは着られない」「母に文句を言われるかもしれない」という強迫観念が薄くなった気がします。
「こんな私だから、これはダメだ」「あの人がこう言ってたから、私もそうしないといけないのでは?」と考えるのではなく、自分を否定しなくてもいいし、一つの意見に耳を傾けなくてもいい。
「人は誰しも自由に選べることをこのエッセイを通じて伝えられたらいいな」と願う夏の夜です。