新たな景色を求め活動的な彼といろいろうまくいかず自己嫌悪になる私

トラウマになっている言葉がある。

大学生の頃付き合っている人がいた。
付き合い始め、
お互い交友関係は狭い方だったので
時間はたっぷりとあり、
会う頻度はかなり多かった。
私はしっかり彼に依存していた。

しかし、私以外の景色を求めたのだろう。
彼は色々なことを始めた。
憧れていた職種のアルバイト。
友達に誘われたサークル。
他にもいろいろと。
もちろん私との時間は減り、
私の扱いは雑になっていった。
たまに会うと、
新しく広がる人脈や、新しい経験を
聞かされるばかり。
連絡がない日はSNSの更新で
その日の彼の様子を知る。

私はと言えば、何をしてもうまくいかないと
悩んでいた。
アルバイトは、人見知りがひどく、
すぐに人間関係が辛くなる。
要領もさほど良くない。
そして続かない。
努力や辛抱が足りないのは分かってはいたが
どうしても、上手く立ち振る舞えず
自己嫌悪の日々。
学校で所属するゼミでは
先生とうまくコミュニケーションが取れず、
友達とは、今思えば本当に上っ面の付き合いで
困ったときに助けてと言えなかった。

ミスをし落ち込んだ私に、彼が笑いながら放った忘れられない一言

そんな日々の中だった。
その日は、新しく始めたアルバイトで、
ミスをし、注意を受け落ち込んでいた。
偶然彼と電話をしたので、聞いてもらった。
その時の、彼の言葉は、
良くも悪くも私を変えたのだと思っている。

電話口で、一通り話し終えると、
彼は笑って言った。
「お前は社会に必要とされない人間だからな」
私は自分以外の誰かからそんなことを
思われて、聞かされているのだと
思ったら返す言葉がなかった。

どうして彼がこんな事を言ったのか、
想像もつかないし、分かりたくもないが、
自分がうまくいっている時に他人の辛い思いを
考えることができなかったのだろうと思う。
それとも、私の事を血の繋がった家族と
勘違いしていて、何を言ってもいい存在だと
思われていたか。

電話を切って1人静かに泣いたのを
覚えている。

新しい命が教えてくれた自分の全てを受け入れること

あれから、6年ほどが経つ。
彼とはその後すぐに別れた。

この6年本当に色々なことがあった。
人と上手にコミュニケーションが取れない為に
仕事がうまくいかないことは今でも多い。
そして辛い時今でも思い出すのが
あの時の彼の言葉だ。
彼に未練はまるで無いが、
あの言葉は消えずに残っている。

忘れよう、決別するのだ。と、
慣れないことや、やりたくないことも
たくさんしてみた。
挑戦したという経験はもちろん
プラスになった。
しかし、無理していたのだろう。
やっぱり元の私のままな気がした。
マイナスな私が消えずにいた。

こんな私もこの冬、母になる。
毎日お腹の中で元気に動く我が子に
励まされる日々。
あの時の言葉は私の中に残ったままだが、
例え社会に必要とされていなくても
間違いなく、この新しい命は私を
必要としている。