峯岸みなみ「AKB48で地に落ちた自己肯定感。復活するまでにしたこと」
AKB48最後の一期生である峯岸みなみさんがパーソナリティーを務めるラジオ番組「やっぱり今日も褒められたい」(TOKYOFM木曜21時スタート)。毎週登場するパートナーとともに、お互いを褒めあいながら、それぞれの価値観や悩みをシェアしていきます。かがみよかがみ連載コラム「できれば明日も褒められたい」とコラボし、ラジオの様子をぎゅぎゅっと凝縮してお届けします。※内容は放送をもとに再構成しています。
AKB48最後の一期生である峯岸みなみさんがパーソナリティーを務めるラジオ番組「やっぱり今日も褒められたい」(TOKYOFM木曜21時スタート)。毎週登場するパートナーとともに、お互いを褒めあいながら、それぞれの価値観や悩みをシェアしていきます。かがみよかがみ連載コラム「できれば明日も褒められたい」とコラボし、ラジオの様子をぎゅぎゅっと凝縮してお届けします。※内容は放送をもとに再構成しています。
かがみよかがみ編集長 伊藤あかり
2009年朝日新聞社入社。新聞記者として10年、紙の世界にどっぷりつかりウェブの世界へ。2018年8月に「かがみよかがみ」を立ち上げ編集長に。
峯岸みなみさん(以下峯岸):番組の話を聞いたのが、実は5日前ぐらい。最近色んな番組でドッキリを仕掛けられることも増えたので、これもそうなのかな?と半信半疑でした(笑)。初の冠番組なので、お手柔らかにお願いします!ここではアイドルというよりも、一人の女性としてみんなに、私のことを知ってもらえたらいいなと思っています。13歳からアイドルを始めて、もうすぐ28歳……!同世代から年上の方から、アドバイスをもらいながら、自分をアップデートできたらいいなと思います。
今回は、私がコラムを担当しているウェブサイト「かがみよかがみ」の伊藤編集長をお招きしました。
伊藤あかり編集長(以下伊藤):よろしくお願いします。あの、私どうしても言っておきたいことがあるんですけど、いいですか。峯岸さんが書いてくれたコラムが良すぎて、誰か手を入れてるんじゃないかとよく聞かれるんですけど、全く手をいれてないんですよ。
峯岸:秋元先生にも、このコラムを送ったんですけど、「これはインタビューされて誰か書いてるのか?」って聞かれたんです。褒められるよりうれしかったです。
記事のなかでは、ファンやメディアの方の前で言ったこともないことも、結構赤裸々に書いたんです。例えば20歳のころから ハウスキーパーさんをお願いしていて、家事を本当にしたことがないってこととか。最近やっと3回目ぐらいに洗濯機をまわしました。これって結構やばいじゃないですか。でも、このコラムに対して、全然否定的な意見がこなかった。一部を切り取られると非難を浴びるかもしれないけど、前後の気持ちを自分で届けられるっていうのはいいなって思いました。
伊藤:インタビューだったら、逆に聞きにくいですよね。「家事全然してないって聞いたけどどうなの?」って(笑)。
峯岸:確かに聞かれたら、ちょっとイラッとして出し渋るかもしれない(笑)。自分で書いているから、自分のなかでさらけ出せるっていうギリギリのラインを示せるのかなと思います。
峯岸:コラムの打ち合わせで伊藤さんと話していた時に印象的だった出来事があって。私はかわいいって言われたいんですけど、伊藤さんはかわいいって言われるのはなんか舐められてる気がして素直に喜べない……って話していたのを聞いた時に驚いたんですよね。業種の差なのかもしれないですけど、アイドルの世界だとかわいいって言われることはすごくうれしいことなんですけど、記者になると逆に足かせになるんだなって。
伊藤:そうですね。もちろん、かわいい女性記者もいるんですけど、「美人記者」と呼ばれることをすごく嫌がっていますね。「私が一番推したいことは顔じゃないんで。そこだけで評価しないでください」っていう感じなのかもしれません。どんな顔をしているかよりも、何を書いたかで評価してほしい。容れ物だけで評価されることは不本意だと思っている子の方が多いような気がします。
峯岸:すごい……。私は容れ物にこだわる人生だったなと思いつつ、でも容れ物がきれいじゃないと手にとってもらえないとも思っちゃいます。中身があるから、外見で判断されたくないってことなんですよね。私は別に……外見もそんなすごい良いものでもないですけど、開けたらもっとすっからかんだからなあ。
伊藤:それは絶対ないですよ!!過小評価しすぎだと思います。峯岸さんの書いたものをみれば、すごく内省して、思考の深い人だっていうのは伝わります。しかも、それをちゃんと言語化できている。そこが私は他のアイドルとは違うのかなって、毎回コラムを読むのを楽しみにしています。
峯岸:この「かがみよかがみ」というメディアのコンセプトは「私のコンプレックスを、私のアドバンテージにする」で、女性の自己肯定感を爆上げすることを目指していますよね。爆上げの前には、爆崩れもあるのかなって思うんですけど、伊藤さんの場合は何かありますか?
伊藤:いや~最近失恋したんですよね。最近っていうか3日前。自分が好きでも、相手にとってはそうじゃないって認めることは結構しんどいな~と思いました。きついことを言われて、なんかちょっと傷ついているかも?と思ったけど気づかないふりして寝て、朝起きてたら、すごく心がぐちゃぐちゃになっていた。でも、もうひどい別れ方をしてしまったから、連絡はとれない……みたいな。
峯岸:ひとり篠原涼子さん主演ドラマみたいですね。なんか大人です。自己肯定感は結構恋愛で上がったり、下がったりすることの方が多いですか。
伊藤:うーん仕事で自己肯定感が下がることは少なくなったかなあ。会社の基準っていうのは、おじさんたちが適当に作った基準って知ってるんで。「お前はだめだ」と言われたこともたくさんありましたけど、私は「あなたの方が間違ってるかもよ?」というのがすごくあったんですよね。
峯岸:私がアイドルという特殊な仕事をしているからかもしれないですけど、私は仕事が一番下がりますね。
自分よりも後から出てきたタレントさんと一緒に番組にでて、その後に自分は呼ばれないのにその子が呼ばれていたり。総選挙はまた違うかもしれないけど、コンサートではうちわの数を見てかなわないなって思うし。なんかAKBっていう組織のなかで自己肯定感が地に落ちました。
伊藤:若い時からずっと競わされているのは、相当しんどそう。
峯岸:東京の端っこで生まれて、昔から「かわいいね」っていわれるような子ではなかったんです。でも、自分に自信があった。なんですけど、小学生の時にオーディションに行って、デビューしてどんどんどんどん自己肯定感が下がった。かわいい子ってこんなにたくさんいるんだなあって。
でも、少しずつ私にしかできないところがあるよなっていうのに気づいてきたんです。例えば、誰もが文章を書けるかって言ったらそうじゃないし、共感を持ってもらえるキャラクターかっていうとそうじゃないし……。最近自分のなかのそういう部分を見つけられるようになって、こうやってラジオのお仕事もいただけた。そうやって少しずつ、自己肯定感を上げて今があるのかなって思います。
3日前に失恋したばっかりなのに、平然と朝起きて、仕事をしている伊藤さんはエラい!
自分の価値観がはっきりしていない若い時に、設定された基準に対して、ちゃんと向き合って、消化して乗り越えてきたのが本当にすごい!!
峯岸さんのコラムを最初に読んだ時、「う、うますぎないか…!」と思わず声をあげたのを覚えています。本当にご本人が書いたのか、という気持ちと、ご本人じゃないとここまで書けないよなという気持ち。これまでに4回コラムをいただいていますが、全て安定したクオリティーにおったまげております。アイドルがここまで書けてしまうと、本業の私たちは立つ瀬がありません(笑)。次は何を書いていただけるんだろうかと楽しみです。
◇放送時間:木曜日21:00-21:30
◇出演者:峯岸みなみ(AKB48)
AKB48の1期生で、朝日新聞の女性向けWEBコラムサイト「かがみよかがみ」内でコラム連載を持つ峯岸みなみの新番組がスタート!アイドルとして15年の活動を経て、30歳という年齢が見えてきた一人の女性としてリスナーと本音で向き合う30分の番組です。一日の終わりくらいちょっと褒められたい。そんな思いを共有しませんか?
AKB48の最後の一期生で、アイドル歴14年の峯岸みなみさん。新型コロナの影響で卒業が延期となり、アイドル“留年”中のいま「かがみよかがみ」でコラムニストデビュー!「他人に褒められることをモチベーションに生きてきた」というアイドル時代を振り返りながら “宿題”に向き合います。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。