#2「私たちが同棲するにあたってのあれこれ」 シオリーヌ編

皆さんこんにちは! 助産師のシオリーヌです。
先月より始まった初の夫婦連載ですが、読んでくださった方からたくさんの温かいご感想をいただき、ありがとうございました。

生活を共にするパートナーとの関係性をより良い形に構築していくことってすごく大切なことなのに、なかなか人の体験談に触れたり、そのハウツーを学ぶ機会がないものだよなとよく感じます。

そんな中で私たち夫婦の考えることや試みることが、どこかのカップルや夫婦の参考になったり、役立ったりすることがあれば嬉しいです。

私たちもまだまだパートナーシップを育んでいる真っ最中ですので、みなさんと一緒に学び考えていこうと思っています。

今回は「私たちが同棲するにあたってのあれこれ」についてのお話です。

シオリーヌさんとつくしさん
2020年4月、緊急事態宣言下で外出を自粛しながらベランダキャンンプを楽しみました

染みついた「マイルール」からストレスをためて失敗……

交際を始めて2ヶ月弱が経ったころ、二人の間に同棲話が持ち上がりました。

それまで彼は観光地の旅館で住み込みのアルバイトをしていたのですが、その契約期間が満了するとのことで、ちょうど転居先を悩んでいたのです。

「この仕事良さそうだけど住み込みじゃないし……」と求人情報を見ながら悩んでいる彼にふと「うちに来るって選択肢も考えていいと思うよ」と伝えたことをきっかけに、一緒に暮らし始めることになりました。

初めは気軽に提案したものの、私には少し不安がありました。過去の結婚生活での経験から来る不安です。

私は19歳から家を出ているので一人暮らしが長く、良くも悪くも自分一人での生活スタイルというのが出来上がっていました。快適な家事のやり方、掃除の頻度、食事のリズムや清潔・不潔の価値観など、完全にマイルールが染み付いている状態から「人と暮らす」という生活にシフトすることはとても難しく、前の結婚生活では正直かなりストレスを溜めてしまった思い出があります。

何が嫌でどこは歩み寄れるか、といったような話し合いもその時にはできなかったので、結局「自分が気になってしまう部分は全部自分でやればいい」と諦めて、家事はほとんど自分が担うような状態に。当然心地よい生活ではありませんでした。

つくしと暮らし始めたら、またああやって悩むことになるのかもしれない。話し合っても分かってもらえないかもしれないし、かといってまた自分で全部担うのは負担だし……。

そんな不安を抱えながらスタートした同棲生活でしたが、ある共通認識を持てたことが前向きな話し合いに向き合う後押しとなってくれました。

価値観が違う人が暮らすのだから必要な「ことばにすること」

それは「別の家庭で生きてきたのだから常識は違って当然」ということ。どちらから言い出したのかは思い出せませんが、前提として、

「自分と相手の常識が違うのは当然として受け入れ、相手も自分も責めないこと」

「違った価値観を持つもの同士がともに暮らしていくために必要な話し合いは面倒がらずに、根気強く言語化していこうということ」

といった認識を確認し合いながら話し合いを繰り返していったことで、少しずつ「二人の生活」というものにシフトし、慣れていくことができたように思います。

 例えばそれは「一度使ったものはもともとあった場所に戻してほしい」という話し合いであったり(私の方が整理整頓に厳しくて、彼はあまり気にしない)、「バスタオルは毎日変えたい派か、何日か使う派か」という話し合いであったり(この価値観は一緒だった)、具体例をあげるとあまりに何気ない生活の中でのちょっとしたトピックスばかりなのですが、そういうちょっとした日常動作の積み重ねが生活を構成していると思うので、一つ一つ真剣に向き合ってこられたことが今の生活につながっていると思います。

自分の常識を変えるのにはコストや勇気、根気がかかるけども

もちろん今でもちょっとしたことですれ違ったり、ケンカっぽくなることもありますし、これからもし子どもができたり生活環境がガラッと変化することがあれば、今よりもっと向き合わなければならない課題が増えることもあるでしょう。

でも一緒に暮らし始めてすぐにこうして話し合いを重ねて練習をしてこられたからこそ、これから訪れる問題にも一緒に向き合っていけるのではないかと思えています。

パートナーと面と向かって議論したり、自分の常識を一回ひっくり返して物事を捉え直したりする行為は精神的なコストもすごくかかるし、勇気も根気もいる作業ですが、そうした努力の積み重ねが10年後のパートナーシップを大きく変えるような気がしているので、これから先も私はつくしと一緒に頑張って、暮らしを育んでいきたいなと感じています。