#08 

みなさんお久しぶりです。どさんこつくしです。
前回の更新から時間が経って、いつの間にか段々と秋めいてきたこの頃。
季節は移り変わっても、新型コロナウイルスによる猛威はなかなか終わってくれません。
夏と一緒に去ってくれたらどれほど良いか。
今回はそんなコロナ禍に右往左往しながら挙行した結婚式にまつわるお話。
ちょっと懺悔成分が多めです。

「辛い思い出を払拭したい」という思いで動き出した結婚式だったけど…

今でこそ無事に終わった結婚式。
A面でも綴られていると思いますが、当初は式を挙げることに積極的な雰囲気ではありませんでした。
詩織が過去に経験した話を初めて聞いた時、それに対する驚きと腹立たしさでどうしようかと思うほど、前夫に対する暗くてドロ〜っとした気持ちが膨らんだのを覚えています。

でも同時に「詩織の結婚式に対する辛い思い出を払拭したい」と密かに考えるようになりました。
だって折角再婚相手として選んでくれたんだし、要らん思い出は2人で浄化しておきたい。

詩織に初めてその気持ちを打ち明けたのは、結婚後しばらくして二人で湯船に浸かっている時だったと思います。
詩織は少し悩んだ後、「つくしがリーダーとなって準備を進めること」を条件に話を呑んでくれました。

コンマ3秒ほど「リーダー」という条件に怯んだものの、賛成してくれた嬉しさと「良い思い出にするぞ!」という熱い気持ちでそんな不安は空の彼方へ飛んでいきます。
それが後々、二人の間に横たわる大きな溝となることも知らずに……(ここで不穏なBGM)。

終わらない準備に「式は辞めよう」と言う妻。「それでもやりたい」と伝えた

準備を始めてまずやることは用意が必要な物のリストアップ。
参加者名簿やウェルカムボードだけでなく、人前式用の結婚証明書あたりも自分達で揃えることにしました。
そしてイラストとデザインの必要なアイテムは全て僕が担当することに。
この辺りから段々と雲行きが怪しくなっていきます。

「いつまでに出来そう?」

これは僕が最も苦手な言葉の1つです。
瞬間、頭の中が無意味に高速回転して軽いパニックになります。
何をする必要があってどれくらいで完成させられるのか、とてもじゃないけど冷静に考えられない。
この現象は、未経験のタスクをこなさなければいけない状況になった時、顕著に現れます。
ただ、リーダーをやると言った手前ここで詩織を心配させるわけにはいかないと、咄嗟に期日を伝えます。
すでに達成できるイメージは沸いておらず、内心は不安でいっぱいでした。

学生時代から、やるべきことを洗い出してスケジューリングするのがとても苦手で、幾度となく失敗してきましたが、今回も痛い目を見ることになります。
伝えた期日になっても何一つ準備が終わっていなかったのです。

「自分がリーダー、詩織はサブ」という条件だった結婚式準備、リーダーとして卒なく進行をまとめるどころか自分のタスクすら終えられなかった上に、それらを詩織に指摘されるまで相談することすら出来ずにいる始末。
完全に詩織を裏切ってしまったし、少なくともその時の信用は地に落ちてしまっていたと思う。

「こんなことなら結婚式は辞めよう」と言う詩織へ、タスクの相談が出来ていなかったことを謝罪し、それでもどうにか結婚式をやりたい旨を伝えました。
この時許してもらえたのは間違いなく詩織の心が広かったからです。

「自分の力ではどうにもタスクが管理できない」という事実をその時身をもって理解し、ここでようやく詩織に協力をお願いできないか相談することにしました。

仕事をこなす妻の姿に目から落ちるウロコ…。準備の過程で得られた成功体験

ご存知の方も多いかもしれませんが、僕の妻はびっくりするほど仕事ができます。
仕事の内容はもちろん、タスクを完了させる能力がべらぼうに高い。
例えば、昨年末から半年程で計3冊の本を出版していますが、その執筆スピードは側から見ていて心配になるほどでした。

そんな爪の垢で一儲けできてしまいそうなほど仕事ができる妻に「どうしたらタスクが完了できるのか」という社会人らしからぬ質問を投げかけます。
すると詩織は、仕事机から持ってきたコピー用紙をおもむろに折り始め、出来上がったのは即席のカレンダー。

それからいくつかの質問が始まりました。
それぞれのアイテムを完成させるには、制作〜入稿までどれくらい分割して考える必要があるのか、それぞれどれ位の時間が要るのか、聞き取りをしながらカレンダーにメモを取る、の繰り返し。
怒涛の勢いでタスクが因数分解されていきます。

そうして、つくし専用の工程管理表が完成しました。
こうやって自分のやるべきことを細分化して考えたことは今までなかったので、目から鱗がボロンボロン落ちる。こういうのって皆当たり前にやってるものですか?

詩織の多大なる協力により出来上がった工程管理表、無事終えられて本当に良かった

ちなみに、この話を書きながら「あのカレンダーは学生時代とかに活用してたの?」と詩織に聞いてみたら、「頭の中でやってることを可視化しただけ」と返ってきた。
恐るべし仕事できるパーソン。

こうして彼女の多大なる協力により、なんとか無事に結婚式を挙げることが出来たのです。ありがとうとごめんねが止まらない。
自分が苦手に感じていることを相談できず、結果として詩織には要らぬ負担を掛けてしまったなと思います。本当に反省。
その出来事からはこまめに話し合いを重ね、楽しく当日を迎えられたのがせめてもの救いです。
色々あったけど、最後は詩織にとっての「結婚式」を塗り替えられて本当に良かった。

準備期間中は、楽しいことも辛いことも沢山沢山話し合う機会がありました。
式はもちろん楽しくて良い思い出になったけど、自分にとってはこの準備期間の衝突とそれを乗り越えていく過程が、詩織と人生を歩む上でとても大きな成功体験になったと感じています。

一緒に挙げてくれて本当にありがとう。

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