佐々木ののか賞発表!テーマ「矛盾と葛藤」【1周年特別コンテスト】
1周年特別コンテスト:佐々木ののか賞「矛盾と葛藤」
お待たせしました!9月に募集を開始した「1周年特別企画エッセイコンテスト」の大賞を順次発表していきます。きょうは「佐々木ののか賞」の発表です。テーマは「矛盾と葛藤」。
お待たせしました!9月に募集を開始した「1周年特別企画エッセイコンテスト」の大賞を順次発表していきます。きょうは「佐々木ののか賞」の発表です。テーマは「矛盾と葛藤」。
自分について語る文章の中でも、「矛盾と葛藤」というテーマではとくに、自己憐憫の香りが強く、内へ内へと閉じていってしまうものもあるでしょう。「自分語り」が嫌われる理由はここにあると、私は考えます。しかし、自分のことを語っていたとしても、鋭い内省で自らを貫き、外界への風穴を開けるような文章もあります。そういった突き抜ける矛盾と葛藤に出会いたくて、出会わせてくださって、ありがとうございました。
追伸
ちなみに(審査員までさせていただいておきながらなんですが)私はこうしたコンテストに引っかかったことが一度もないという全く個人的な経験(私情)から、コンテストなるものを絶対視していません。とくに、今回の私の賞に関しては私の好みが著しく反映されていると思われます。誰かによるフックアップはあくまでひとつの可能性で、絶対ではなく、機能するのはポジティブな効果のみで、選ばれなかったことにどうか気落ちしないでいただきたいと強く願ってやみません。大賞と次点に選ばせていただいた方は、素敵な文章をありがとうございます。そうでなかった方も「相性が合わなかったのかも」とか「見る目ねぇな、くそくらえ」で、どうかまた書いてください。
耳心地の良いリズミカルな文体とゴンゴンと焚きつけるような葛藤に強く惹かれました。それでいて、自分以外の視点を参照するような慎重さも感じられる。山口さんの文章からは「外界への風穴」があると感じました。
テーマ自体は(有り体に言わせていただくと)「学歴コンプレックス」に括られる平凡なものかもしれません。しかし、いざ読んでみると、繊細さと切実さが凝縮されていて、そのギャップに驚きました。限られた文字数の中でも、彼との関わりの中で移り変わる心情を丁寧に観察・描写されたからこそ、山口さんにしか書けないものになったのではないかと感じています。
山口さんの矛盾と葛藤がどこかに終着しましたら、どうかまた拝読したいです。
読ませてくださってありがとうございました。
人様が何を矛盾と葛藤に思うかに優劣はないはずなのですが、テーマがおもしろく、次点として推させていただいたのが、とわずがたりさんの作品でした。今も渦中にある切実な悩み、とりわけ性の領域の中でも公に書くのが難しいテーマに切り込まれた勇気ある選択に敬意を表します。
ただ、やはり悩みの渦中にあることと、公に書くことが難しいテーマであるためか、何かに遠慮しているような、肩に力が入ったような印象を受けました。「本当はこうあるべき」という世間体を読者は概ね共有できているので、とわずがたりさんの求める性のかたちがより魅力的に映るかたちで書かれていてもよかったのかなと思いました。「襲われたい」という他人に否定されがちな欲望の側に読者を引き込み、読者をも矛盾と葛藤の渦の中で揺さぶることができたら、自分自身の悩みが外側にも開かれていくかもしれません(もちろん何もかもを開く必要はなく、エッセイを書くうえでの、私個人の考えです)
審査員をさせていただいておきながら、人様の文章の良し悪しを語る立場にはないと思っているのですが、高い文章力や構成力をお持ちの方だと感じました。小さな物語を読ませていただいたような読後感で、読み終えた直後に「え!」と思わず声が出てしまったほどです。
ただ、「矛盾と葛藤」の盛り上がりに対して、最後の段落がやや唐突に感じたこと。そのことで膨らませてきた矛盾と葛藤の要素が薄まってしまったことが個人的には少し残念でした。
前半では彼との関係がとても魅力的に書かれていたので、テーマとの相性が良くなかったり、1,500字では表現しきれないスケール感の思い出だったりしたのかもしれません。今回は公募規定がありましたが、制約のない環境で、セレンさんと彼とのお話を読ませていただく機会があったらうれしいです。
たくさんのご応募ありがとうございました。かがみよかがみでは、これからも様々なテーマでエッセイの募集をしていきます。みなさまの投稿お待ちしております。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
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