職場に結婚報告をした時、耳に入ってきたその言葉に一瞬思考がフリーズした。
んんん?どんな反応をしたか覚えていないけれど、言葉でしっかり返答はできなくて、曖昧に苦笑いしたように思う。どんな文脈だったか・・・何か励まされる流れのなかで使われた言葉。「ご主人の仕事も大変なんだね、これからは内助の功で支えなきゃね!」とかなんとか。

褒めたつもりかもしれないけど、連想するイメージに内心ゾッとした

内助の功-テレビドラマの世界でしか聞いたことがなかった。
大学生になって地元を出るまで、本当の専業主婦というものを身近に感じたことがなかった環境もあるかもしれない。地方都市で、近しい友達の母たちはパートだなんだで仕事をしていたし、私の実家は自営業、母も祖母も家事をしながらせっせと働いていた。

“内助の功”から連想するのは、夫を陰で支えながらもしっかり家事全般をこなす控えめな妻、といったイメージだ。私は自分のずぼら、不器用、勝気な性格に無遠慮にも当てはめられると内心ゾッとするのだが、世間一般にはそれは新妻に対する誉め言葉らしい。
人にはキャパシティがあるし、好みの生き方もある。家族のためにしっかり家事や育児をやりたい人はもちろんいて、その言葉で形容されてもなんともないかもしれない。でもなんの配慮も価値観のすり合わせもなく発言する年長社員(特に男性)が世の中には溢れていて、ときどきウンザリする。

残業していると「旦那さんのご飯とか大丈夫?」って聞いてきた同僚に本当は言いたい。知ってます?手取り年収って、ここ10年で数十万円も減っているらしいですよ。税金やら社会保険料やらがどんどんUPしているんですって。そんな世の中の流れでも「大黒柱」旦那さんの稼ぎだけで本当にやっていけるのかな。

調べれば調べるほど感じる、「内助の功」体制が量産された理由

そんなニュース記事を読んでから、恥ずかしながら社会人を数年やってはじめてくらいに給与明細をまじまじと見るようになった。やっぱり全解読はできないけれど、給与から直接引かれている金額のなんと大きいことか・・・(これもみんな言っていることだが)。
ところが、ちょっと調べると“扶養”内で働けば、税金とか引かれないし、旦那さんの手取りは年間数十万増えるし、将来夫の年金にも妻の分が上乗せされてもらえるらしい。んんん?なにそれ超お得!世の中に「パート主婦」といわれるカテゴリーの人が多いのはこのためか。

ちなみに旦那さんが亡くなった妻ーいわゆる未亡人に払われる年金もあって、妻がもらう分には年齢制限はないけれど、夫がもらう場合は年齢制限があったりするそうだ。個人的にはすごく違和感があるのだけれど、これも女性が社会人として男性ほど稼げないだろうってことが前提なのだろうか。自分の性が優遇されているはずなのに、嬉しくない。もやもやする。
「内助の功」体制が量産される意味が分かった気がする。今の国の制度も関係していたようだ。独身かつ一般的な会社員では意識してこなかったことが、結婚というイベントによって自分もその当事者になり、色々と考えるようになった。

妻が支える構図だけでなく、お互いがサポートしあう状況にスポットを

じゃあ私は、私たちはどうする?・・・やっぱり、お金の損得だけの話ではなく「自分」も主力で働いていたい。働くのが、大変でもあるけど楽しい。
家柄、学歴、性格、容姿・・・おまけに料理の腕前、すべてが最上級の友人は、自ら専業主婦になったようだ。その選択は彼女に合っているし、子どもも生まれてからは今までで1番幸せそう。でもきっと同じ状況でも私はそうではないし、夫婦の幸せも1組1組違うから。

他人の家庭環境について話す時は、誰かがもやもやしたり、かちんときたりしない、傷つかない表現に変えてほしい。夫が主軸で仕事を頑張り、妻が家庭を守り支えるーという構図やパワーバランスを示す感じではなくて、お互いがサポートしあっているっていう状況にスポットを当てられないか。
夫婦で協力して頑張る人が増えていって、そうして夫も妻も一緒に働く方が得じゃん!そう思える社会のルールができるように。我が家は今日も共働き体制を維持していく。

参考サイト:

https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/tagyo/dai3hihokensha.html

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_2.htm