私には夢がある。それはシンガーソングライターとして食っていくことだ。小さい頃は「がんばってね!」と言われていた夢が、今では「将来のこと、ちゃんと考えているの?」「どうやって生活していくの?」に変わった。

シンガーソングライターにとって、普通でないのは「チャンス」

そんな世間の反応をよそに、私は今日も歌っている。24歳。4年生大学を卒業。アルバイト生活。大学時代は前のほうの席で、ほとんど毎日1人で講義を受けた。法律を学びに大学には通っていたけれど、本当は音楽のことにしか興味がなくて、大学に行きたくなかった。朝だんだん起きられなくなって、大学に行けない日も増えた。そして、留年した。

23歳の誕生日、母から「何かヒントになれば」とアスペルガー症候群や発達障害の本を3冊手渡された。中を読むと涙が出てきた。自分が今までずっとよくわからずに悩んでいたことが、そこには書いてあったからだ。
カウンセラーの先生によると、私はアスペルガー症候群ではないらしい。ただ、その本の内容に共感したことからすると、少なからず私にはいわゆる普通の人とは違う感覚があるようだ。

正直、自分が普通ではないという事実は受け入れがたかったし、母にもそのように思われていたのだなと知って、何とも言えない気持ちになった。しかし、同時にシンガーソングライターである私にとって、この“普通ではない”は「チャンスだな!」とも思った。

受け入れてから、急激に視野が広がった。「正解」に合わせなくていい

自分がいわゆる“ふつう”ではないことを受け入れてからは、急激に視野が広がった。メイクもファッションも髪の色も、世間で「これが正解!」と言われているものに合わせなくていい。「女の子だからこれはできて当たり前」に便乗しなくていい。「4年生大学を出たら、きちんとスーツを着て就職活動をして、必ず新卒で入社」しなくてもいい。「ふつうはこうだよ」と人は言う。だけど、私は“ふつう”ではないから。

もちろん、普通が悪いわけじゃない。私が今「しなくてもいい」と言ったことを、当たり前にできる人のことを、私は尊敬する。だけど、もし、自分が世間の普通に当てはまらなくて、いや、当てはまることができなくて、苦しんでいる人がいるのなら「それはチャンスだよ」って教えてあげたい。

不思議といろんなことが上手くいき、こんなに変われるんだと嬉しくて

「ふつうじゃなくていいんだ」。もっと言うと、「自分の好きなようにしていいんだ」。そのことに気づいてからは、不思議といろんなことが上手くいくようになった。大学を卒業できたことを始め、あるオーディションに合格したり、仕事がすんなりと頭に入ってくるようになったり、、、。自分の意識次第でこんなにも変われるんだなと嬉しくなった。

また、こうしてエピソードをエッセイにして、いろんな人に読んでもらえることも、私が“ふつう”だったらできなかったのかなと思うと、“ふつう”じゃない私にありがとうと言いたくなる。
“ふつう”じゃなくて生きづらさを感じることもあるけれど、“ふつう”じゃないから得られたことも、そして、これから得られることもきっとあると思う。“ふつうじゃない”を味方に、シンガーソングライターとして食っていきます!!