二十九歳、そろそろ周囲の女子も焦り出してきたのか、結婚について問われることが増えた気がする。私は、二十六歳の頃に結婚しているので、仲間内では珍しい既婚者組だ。
結婚は目標ではなく手段ではないだろうか
「結婚がゴールだとは思わない方がいいよ」
私は結婚についての問いに、たいていこう返している。
結婚とは、「同じ家庭で共に生活することに関する契約」だと思う。契約とは何かをするために結ぶもので、それ自体が目的となるのはおかしいと思うのだけれど、世間では契約を結ぶための活動……婚活が盛んなようだ。婚活は別に否定はしないが、結婚が目標になると、「何のために結婚するのか」というのが薄れるような気がする。
結婚する理由。それはひとそれぞれだとは思う。生活のため、子供が欲しいから、好きな人と一緒にいたいから……。
どんな理由でも構わないが、結婚は目標ではなく手段ではないだろうか。結婚が手段ではなく目標になってしまうと、その後の生活がどうなるのか私にはわからない。私にとって結婚は、生きるために必要な選択肢というだけだったからだ。
夫が私に似てきて、私も夫に似てきた
私は毒親から逃げるのに一番手っ取り早い手段として、地方に転勤する夫との結婚を選んだ。
結婚してから、夫は変わった。高校時代から十年近く付き合っていたのだから、今さら新しい発見もないだろうと思っていたのだけれど、毎日発見がある。発見がありすぎて、去年からこっそり夫の観察日記をつけ始めたくらいだ。
どこが変わったのかと言うと、私に似てきたのだ。
夫は理系で、昔は理詰めで話すクールキャラだった(気がする)。それが結婚してからは、なんだかふわふわしてきて、いわゆるボケとツッコミが逆転してしまった。
「似た者夫婦」という言葉をよく聞くけれど、きっと最初から似ていたわけじゃなく、だんだんお互いがお互いに染まっていって似たもの夫婦になるのだと発見した。
私も夫に似てきた。夫の趣味である料理に付き合ううちに、お菓子なども作るようになり、互いの休日が重なった日は二人でレシピ本を広げて、手の込んだ料理やケーキをつくるようになった。私は実家にいた頃は台所に立つことすらなかったのに、だ。
他にもそれぞれの趣味を試してみたりして、どんどん私たちは変わっていっている。趣味以外にも語彙や喋り方も似てきたと感じることがとても多い。生活習慣などは、同じ家にいるのだから言わずもがなだ。
結婚はゴールではない。結婚しても、日常は続く
そうやってお互いがお互いに影響し、変わっていきながら、ひとつの家庭というものを作りあげる。それが結婚だと私は思う。
結婚はゴールではない。結婚しても、日常は続く。そしてその日常は毎日変化していく。自分も変わらずには済ませられない。結婚をゴールにしてしまった人は、その変化に耐えきれるのだろうか?
「結婚はゴールではありません。スタートラインです」
ありきたりな言葉だが、これは真実だと思う。
結婚したいと考えている人たちに問いたい。
「あなたは何故結婚したいの?」
「結婚はあなたにとってゴール?スタート?」
「結婚、どう思う?」