私は孤独だ。
平日にLINEして、休日の予定を埋めてくれる相手が欲しい。アルバムに写真を増やし、私は一人じゃないと実感したい。先を進んでいく友人達に、置いていかれてると思いたくない。
そして幸せの絶頂にいた自分を、元彼を忘れたい。

マッチングアプリで出来た彼。今は心の底からは…

二ヶ月前、私は婚約破棄された。
新生活の場所や、両親への挨拶の日取りを決めた矢先のことだった。理由は色々あるが、日頃から真剣に向き合えていなかったのが一番の原因だ。
互いに恋に盲目になっていて、目を背けていた小さな問題が積み重なり、崩れたのだ。幸せいっぱいだった私は、その喪失感から一刻も早く脱却したかった。そして婚活アプリに登録し、今の彼と出会ったのだ。

彼は大手企業に勤めているが、野球好きで中年太りの普通の会社員である。「女性はこういうもの」というメディアから作られた固定観念が強い。
彼がよく口にする「女の子だもんね」という言葉が私は嫌いだ。理系だからか、打算的に物事を考える価値観もあまり好きではない。また私の家事のやり方に口出ししてくるのも気に触る。
付き合って一ヶ月だが、今は尊敬できる所や好きな所より、嫌な所の方がすぐに思いつく。元彼の時の様に、彼の事で頭がいっぱいになる恋愛ではない。同じ失敗をしたくないという思いや、結婚を前提にメッセージのやり取りや付き合いが始まるという、どこか味気ない虚しさからなのか、今の私はすっかり冷静だ。

そんな状態でも彼と付き合っているのは、冒頭の通り、私は孤独で、一人でいることに耐えられる自信がないからだ。
なぜこんなにも孤独を感じているのか?調べてみたことがある。

どうやら、父親との関係が希薄だったことが関係しているそうだ。この場合、子供の頃に与えられなかった安心感という愛を求め、恋愛依存になる人も少なくないらしい。確かに幼い頃の父親は厳しく怖い存在だったし、子供ながらに愛されていないと感じていた。

きっとこのまま彼と無難に付き合っていたら、結婚できると思う。ありふれた平凡な未来が想像できる。
しかし今の私は、どんな時でも彼を支えたいという強い愛や、一緒に困難を乗り越える自信は無い。私はそろそろ孤独な自分と、愛されたかった過去と向き合う必要がある。

「世界で一番恐ろしい病気は、孤独です」

28歳の今、友人の半分が結婚や出産を経験している。夫婦生活、子育て、親戚付き合いなど、悩みは多かれ少なかれあるようだ。しかし悩みや愚痴を語る言葉の節々にも、パートナーや子供への愛が感じられる。彼女らの根底には揺るがない愛があり、その上に日常が積み重ねられている。その様子が見える度に微笑ましくもなり、同時に自分の孤独さを痛感させられてきた。

「世界で一番恐ろしい病気は、孤独です」マザーテレサの言葉だ。
とあるデータによると、日本は世界一孤独を感じている人が多い国らしい。こんな豊かな国なのに、心が貧しいなんて、なんて悲しい事だろう。そして例に漏れず、今のところ私はその中の一人だ。
この寂しい気持ちを癒し、あるいは許し受け入れ、もっと成長したい。強い心をもって色々な事に挑戦し、人生の選択肢を増やしたい。このまま自分の本音に蓋をして安牌な人生に乗っかり、可能性を狭めたくない。パートナーにはだらしない自分も弱い自分も、認めて欲しい。

しかしありのままの私を愛して欲しいと願うより先に、まずは私自身が、ありのままの自分を愛せるようにならなければいけない。いつかそんな自分になれたら、彼の良い所を探しにいこう。
そして彼の女性という固定観念を、少しずつ訂正していきたい。彼のお腹も女性も、完璧ではないのだから。