2018年冬の雨の日、私は彼とカフェへ出かけた。
今日は明るい話題にはなりそうにない。
おそらく、彼の仲の良い女友達(A子)に関する話をするのだろう。
私は、嫉妬せずに話を聞けるだろうか、怒らずに話を聞けるだろうか、感情的にならずに帰れるだろうか。
心配ばかりを抱えながら、駅前のカフェに向かった。
雨の中、店を出た。今すぐここから逃げたい気持ちでいっぱいだった
彼はアイスティー、私はアイスカフェラテを頼んで席についた。
「あのなー……。」
彼が重い口を開いた瞬間、私は嫌な予感がしていた。
「お前のインスタグラムをA子がブロックしてた件なんだけど……。」
そう、今日はA子が私のインスタをブロックしていたことが発覚し、私はそれについてショックを受け、彼に私が何かしたのではないかと相談していたのだ。
今回はその件について話しがあると呼び出されていた。
「お前のインスタブロックしてって、俺がA子に言ってん。」
私は「は?」としか言いようがなかった。
しかし、彼がA子にそうお願いするのも無理がないと思った。ここ数ヶ月、A子がインスタに投稿したストーリーが原因で何回も喧嘩していたからだ。
内容は、彼が男友達と出かけると言っていたのにA子のストーリーに載っていたりと、小さな嘘から生まれている。そこで彼は、A子のストーリーを私が見れないようにすれば喧嘩も減るだろうと考えたのだろう。
しかし、彼のお願いによってブロックされたと聞いた私は想像以上にショックを受けていた。
私は、気づいたら一口しか飲んでいないカフェラテを置いて店を出て駅へ向かっていた。
彼は必死で私を止めていたが、私は今彼と話したくない気持ちでいっぱいだった。
駅の階段は雨で濡れていて、何度かこけそうになっていたが、そんなことより今すぐこの場所から逃げたい気持ちでいっぱいだった。
沈黙に痺れを切らし、私は「別れよう」と言った
しかし彼は私に追いついた。
駅のホームで私の手を引っ張って、「ちょっと待って話そう」と少し怒り口調で言った。
私は今は怒りを抑えることができないので、帰りたい一心だ。
「なんでA子にブロックしろなんて言ったのか、本当に反省している。お前が傷つくことまで考えられていなかった。」
彼は真剣な目で私にそう言ったが、怒りを抑えられていない私にはそんな言葉をポジティブに捉えることはできなかった。
「そこまでして、A子と遊びたかったってことでしょ、私が傷つくよりもA子だったってことでしょ」
私はそうとしか考えられなかった。
そのまま長い沈黙が続いた、夏の雨でじめじめした空気はより、その沈黙を居心地悪くさせた。
沈黙に痺れを切らして「別れよう」、私がそう言葉を放った。
ちょうど私に乗る電車がやってきた。
「帰るね。」
私はそのまま電車に乗って、それ以降彼は私を追いかけてくることもなく、私が放った「別れよう」の言葉に対する返事が来ることもなかった。
私が感情のまま怒らなければ、また違った未来があったかもしれない
雨が降るたびにこの恋愛を振り返って、私自身も反省しなければいけない点が多いと思った。
その中でも、「感情のままに怒らない」は今でも意識している。
そもそも今回、インスタをブロックしたのは私が怒り過ぎたから。
彼はきっと怒られたくなかった、ただ楽しい日々を送りたかった、そのためには私がSNSから余計な情報を見てしまう機会を減らそうということだったのだろう。
私が感情のまま怒らなければ、また違った未来があったかもしれない。
この別れを教訓に私は、何があっても怒りや悲しみについて、まずなぜそう感じるのかを自分の中で問い、落ち着いて整理して、それを相手に落ち着いて話すようにしている。