私は中学生の頃から、他人の目を気にしすぎてしまう傾向があった。

当時中学2年生だった私は、クラスの人たちに悪口を言われてるんじゃないかと、今なら「女子だなぁ」と思えるようなめんどくさい悩みに悩まされていた。

評価ばかり気にしていた私に、友人の言葉が気持ちを和らげてくれた

当時、私がそれにどれだけ悩まされていたのかは、今となっては思い出せないが、おそらく私は高校に行ける学力があるのかと考える時間より、多かったのは確かである。そのため、もっぱらその話題ばっかりが友人との間に繰り広げられていた。

しかし、私がその話をよくしていた友人は、私の気持ちを和らげる決定的な言葉を教えてくれたのだ。「誰も悪口言われてない人なんていないよ」。

私は自分のことばかり考えて、自分の批判ばかりしていたが、実際にはそうではなかった。周りを見てみたら、もっと批判されている人だっているし、なんなら自分だって悪口の1つや2つ言ったことがあるはず! それなのに自分が言われないわけがないし、言われてない人がいるわけがないということなのだ! 私は、その言葉にハッとさせられた。

この文面を読んでいる人がどんな気持ちで、どんなBGMを頭の中で奏でているかはわからないが、その時私の頭の中では、ABBAの『ダンシングクイーン』が流れ始めたようだった。

社会人になり、ミスの指摘を受ける日々が続き、自分を責めるように…

それから数十年が経った今、私は会社に入り社会人になっている。毎日頭の中では、Adoの『うっせぇわ』が流れているような日々を送っている。

そんな日々の中で、私が最も恐れているのは、“ミス”である。私はガサツな人間なので、なかなか丁寧に仕事をしようと心がけていても、ミスが必ずと言っていいほど発生する。その度に上司に「ミスを減らす努力はしているのか」「新入社員を見習ってみろ、丁寧に仕事をしているだろ!!」と指摘を受ける毎日。

そんな日々が過ぎていたためか、「私はなんてダメなんだ」「あの人みたいになりたいのに」と自分を責めるようになっていた。そして、自分だけがミスをしてしまっているのではないかと、考えてしまうようになっていたのだ。

そんな日々が1年半ほど過ぎた頃、私はある出来事をきっかけに友人の言葉を思い出した。上司が取引先との打ち合わせ時間を間違えて把握していたため、予定より1時間ほど遅刻してきたことがあったのだ。それに対して、上司はショックを受けていた。

その様子を見て「こんなベテランのおじさんでも失敗するんだぁ。そういえばこんなこと誰かが言ってたような」。そう、その時私は中学の頃の友人が「誰だって悪口を言われている」と言った言葉を思い出したのだ。

中学生の頃の会話が、会社員になって私の仕事を助けてくれることになるとは

その言葉を思い出した私は、「誰だって悪口言われてるし、誰だってミスをするよね!私が悩んでること大体みんな悩んでるよね!」。今まで頭の中のBGMはベートーベンの『天国と地獄』のような音楽が流れていたが、その考えが湧いてきた瞬間、私の頭の中にはスヌーピーの『ライナス&ルーシー』のような音楽が流れ始めた。

足取りが軽くなったというのだろうか。それ以降も私の仕事のミスは多少続いているし、ミスをなくすことはできないと思っている。しかし、以前と比較して大きく変わったことは、「ミスをしても大丈夫だけど同じミスを繰り返さないので、気持ちに余裕を持って見直しをしよう。そして行き詰まったらたまには思考の整理でもしてみよう」と考えがおおらかになったことだろう。

私は、中学生の頃の会話が、会社員になって私の仕事を助けてくれることになるとは思ってもいなかった。もともとその友人のことは尊敬していたが、この出来事以降、この友人を今後も大切にしなければと考えるようになった。

この文章を書いている今も、この友人に私の感謝の気持ちと「これからもよろしく」と伝えたい。