こんなものは、他の人から見れば挑戦でも何でもなかったのかもしれないが、いかにこれが私にとって転機となる試みであったかを説明させてほしい。
行った挑戦の内容としては、私は自分から友達に声をかけて遊びに行くことを一切行わない期間を設けたということだ。

大学生になって、周りの人との関わり方が変わり…

大学2年生の夏休み。ただでさえ人生の夏休みと言われている大学生活の中でやってくる4回の夏休みにおいて、大学2年生は友達とすっかり馴染み、卒論や就活からは遠く、最も夏休みという言葉にふさわしい自由と青春のボーナスタイムではないか!
そんなかけがえのないひと夏を、私はクーラーのきいた自室で快適に過ごした。
これのどこが挑戦だったのか、言い訳させてほしい。 

私は、人間にあまり興味がなくなっていた。
高校まではほぼ休みなく吹奏楽に打ち込み、吹奏楽部員の皆とは「人生を共有していた」と言っても過言ではない密度で関わっていた。アピールしなくても私の性格なんざお見通しという人間関係。
しかし大学生になって、適度に会って適度に会話しつつ、段階を踏んで仲良くなるコミュニケーションのリズムに乗ることができなかった。いつ自分を出せばいいの?どうやったら会話に笑いがおこるんだ???

「ぶっちゃけ何でも話せる親友なんてサークルでできなくない?」「バイト代であまり親しくない友達と外食するくらいなら別に稼がなくていい!」と、人と関わることって案外楽しくないと感じていた。頑張って関わっても、メリットなんかないって思った。

努力もしないで、人間関係を諦めちゃうのが早い!
そのくせ一人になるのが怖くて、友達がいないと思われたくないという謎の見栄っ張り。
友達と旅行に行った写真とかをインスタにあげないと、私の夏休みの印象って「家族と山に行ってた写真の子」で終わっちゃう!そんなのっておしゃれじゃない……。

あーもう面倒、どうだっていいじゃん。大学2年生の夏休み、人と関わることをやめた。
自分から友達を遊びに一切誘わず、誘われた時だけはとりあえず行くことにした。 (結果友達と夏休みに遊んだのは4日くらいだったかな…?)

一人で過ごす夏休み。友達といて楽しくなかった理由に気づいた

そして、クーラーのきいた部屋で一人過ごすだけの夏休みが始まった。
孤独への挑戦。自分自身との対峙。
そこで感じたのは、案外寂しくないということ。むしろ自分の考えや趣味が広がり、どんどん自分自身の土台が作られて安心と自信が謎に沸いてきた。その間、気になっていた映画を見まくった。最高。大好きなアイドルの動画を漁りまくった。最高。

映画の役者やステージのアイドルは、理想的な姿を演じている。現実の友達と関わるより、フィクションの彼女たちを見ていた方が自分は苦労しなくて済むし、わかりやすくて面白い。二次元の彼氏は完璧だから、現実の異性にはちょっと興味ないかな?的なことを私は恋愛ではなく友情でやっていたのだ。自分は何もせず、完璧な友達を手に入れたいと。(二次元への恋はそれはそれで最高だよね。気持ちはわかる。)

私があの映画の主人公なら、真っ先に親友を呼び止めに行くのになあ。私があのアイドルグループにいたら、真面目でメンバーに寄り添うけどたまに変なことを言って面白い子だと思われたいなあ……。フィクションの世界だったら、私はうまくいきそう。なんてオタクな妄想をしていた。

そこで気がついたのは、友達の代わりに映画の役者やアイドルを通して、他人の考え方や人生に興味を持つ、関わりを望むということを結局はやっていたということ。

そして、ん???と気が付いてしまった!
自分が友達といて楽しくなかったのは、自分がどう思われるか気にしすぎて、相手に受け入れてもらえるような感情表現が、自己アピールができていなかったからかもしれない!

ひとりで妄想してるときは、なりたい自分は場面ごとにこんなに確立されているのに。現実では、自分がサークル内でどういう人間でありたいかなんて考えていなかったし、相手に対して自分をちゃんと出せていなかったんじゃないか。

なんだ簡単だ、なりたい自分で相手にぶつかってみよう!

ありがとう。途方もない時間を孤独に費やした夏休み!

普通の人なら何ら苦労しない友達作りを前に、夏中このような思考をぐるぐると巡らせていた。長い時間を共有することで自然に自分をわかってもらえるという中高部活スタイルを捨てて、なりたい自分、なってみよう!それを相手に伝えちゃおう!というアピール型に少しずつ変えてみた。
どの道一人も本当に楽しくて充実していると、孤独で輝かしい夏休みが裏付けていたからこそ、それからは少しずつ、ためらわずに自分を表現できるようになった。

それから1年ほどかけて、自分の趣味に賛同して一緒にライブにいくようになった友達、動物愛について語り合い愛犬を見せたいと実家に招いてくれた友達など、様々な繋がりができた。
やはり今でも常に人と行動するようなタイプではないが、自分の性格や考えを伝えようと努力すれば、それに「いいね」をつけるように気軽に、私に関わろうとしてくれる人たちが現れることもあると知った。

ありがとう。自分を見つめ直せた、途方もない時間を孤独に費やした夏休み!

今はもっと人と話がしてみたい。私にとって友情とは、自分の一部を大切に少しずつ溶かしながら相手と混ざっていく、ミルクとコーヒー!カフェオレのようなもの。それって結構素敵だ。