私は特別歌が上手いわけでもない、普通の女。カラオケで絢香の『三日月』を歌って一度94点をとったことがある位で、歌の技術を学んだこともなければ、プロを目指してるわけでもない。

ただ音楽自体は好きで、ロックからポップスまで広い範囲で聴くし新しいバンドを探すのも好きだ。

音楽仲間募集を謳ったサイトで「ボーカルをやってみたい」と投稿した

そんな私が音楽仲間募集を謳ったサイトで「ボーカルをやってみたいです」と投稿した。2020年、9月のことだった。

今考えてみても、なぜあのような行動を取ったのだろう? と不思議に思ってしまう。きっと当時していた一人暮らしの寂しさと、コロナ禍でのストレスと、仕事がうまくいかないことなど様々な所で鬱憤が溜まっていたからだろう。でも、結果的にその突発的な行動は、素敵な出会いをもたらしてくれた。

私の投稿には、5~6人からメッセージが来ていた。中には「60代以上の人が多くいるバンドに参加しないか?」というお誘いもあったが、ちょっと気が引けてしまい返信しなかった。

一番最後の方に彼からのメッセージはあった。内容は詳しく覚えていないが、「近くに○○(マイナーなバンド)好きな人がいるんですね」のような内容だったと思う。そこからLINEを交換してしばらくやりとりし、県内で年が近く音楽の趣味も合うし、それにバンドではギターをやってるというから会ってみたくなった。

彼といると女友達といる様な居心地の良さ。「信用できる」と思った

第一印象は、サブカル系だった。シンプルな服、髪。メガネが知的に感じた。夕方に駅で待ち合わせした後、焼肉屋へ行った。気が利かない私は、皿やサラダを取り分けることをてっきり忘れていたが、スマートに全てやってくれて有り難かった。

コロナ禍で店に長居するわけにもいかず、私達は移動することにした。その時にずっと道路側を歩いてくれたことを覚えている。近くの湖のある公園を歩きながら音楽の話、生い立ち、家族の話など色々話した。今は公務員だけど、本気で音楽の道に進みたいという夢も話してくれた。話が長くなり夜遅くなってしまいそうだったので、キリがいい時に別れた。

二度目に会った時には、ギターを持ってきてくれて、2人でセッションした。King Gnuの『Vinyl』を何度も歌って、また私達は公園を歩きながら、ああでもないこうでもないと話をする。女友達といる時の様な居心地の良さ。この人は信用できると思った。

話の流れで「私、アスペルガーなんだよね」と告白したら、「全然そう見えないよ、でも俺もADHDなんだよね」と言われた。当時は友達なのに、運命を感じてしまって焦った。

最初の目的は音楽活動だったが、人生どこで誰と出会うかはわからない

それから何度か会っていくうちに、告白された。内心舞い上がるほど嬉しかったが、何でもないかの様に「私も好き。よろしくね」と言った。以前、処女についての記事を『かがみよかがみ』で書いたことがある。あれから私は無事に処女を卒業した。

あの時の鬱憤が嘘かの様に思えてしまう。先月彼が実家に来た。両親もかなり気に入ってくれて、出会いについても別にとやかく言われることはなかったので心底安心した。

最初の目的であったボーカル活動はというと、全くしていない。初めの頃はセッションしていたものの、自然とそういう流れではなくなった。募集サイトは出会い目的禁止だったと思うが、こんなに気が合う人と出会えることは滅多にないのでまあいいだろう。人生どこで誰と出会うかはわからないものだ。

私たちの関係が結婚まで進むかどうかは分からないものの、なんとなくこの人とはずっと一緒にいるんだろうなという予感がしている。コロナ禍じゃないと私達は出会うことがなかったので、ある意味感謝するべきなのかもしれない。