夜の店で働き始めた。男たちがくわえた何本ものタバコに、ライターを差し出し火をつけるとき、気付いたのは父の愛情だった。完璧だと信じていた友人と再会したとき、突きつけられたのは私の罪だった。振り返った「あのとき」に、よみがえる思い。かみしめる口元。5月に「かがみよかがみ」にたくさん寄せられた、そんなエッセイのなかから、多く読まれた5本を紹介します!

①父が「こいつ木偶の坊やから」と放った一言をわたしは一生忘れない(ASUKA WATANABE)

あらすじ)幼いときに言われたひとこと。それから父を好きだと思ったことはない。表向きは「普通」の父親だが、家では閻魔大王。育ててくれて感謝はしているが、尊敬はしていない。そして一時期、私は父の「殺害計画」を練っていた。

②お父さん、母を「人殺し」と罵った伯母さんをどうして止められなかったの?(なかみん)

あらすじ)同居していた父方の祖母が亡くなった日、父の姉である伯母さんは私の母を「人殺し」と罵った。そして生まれ育った我が家は、伯母の家族に乗っ取られた。あの時、私たちの家族は一度、壊れたのだった。

③お父さんのカバンや携帯を探って、出てきたのは知らない女の人でした(mei)

あらすじ)物心ついたある時から、私は父のカバンを探っていた。家族が知らない携帯電話には、知らない女の人が映っていた。PCの履歴は大人向けのことばかり。そんな父のことを、ずっと好きになれなかった。あの頃見たものは、全て私の心にしまい込んでいる。

④父が無職になり、家が大ピンチに。知らない男の咥えた煙草に、私は何本も何本も火を点けた(桐田)

あらすじ)父が無職になり、夜の店でバイトをすることになった。男のくわえたタバコに何度も火をつけた。男たちは「好きだよ」「カワイイよ」と言ってはくれた。しかし、やけどをしない安全なライターの使い方を教えてくれたのは、愛煙家の父だけだった。

⑤頬がこけ、肩が薄くなり、手首が細くなった「完璧」な彼女。痩せたワケを聞くと(絡目わさび)

あらすじ)彼女はずっと完璧だった。希望した大学に進んだ彼女と違い、滑り止めの大学に行った私は、理想と現実のギャップに憂鬱な日々を過ごしていた。そんななかで再会した彼女は、すっかり変わっていた。そして言った。「あなたをすごいと思ってた」。

5月に読まれたTOP5のエッセイは、このようになりました。

さらに6位以降は次の通り。こちらもぜひ読んでみてください!

あの歌詞を送ったら、父にブロックされた。伝えたかったのは憎しみの言葉ではなくて(アオイトリ)

使わなくなったケータイをくれた父。保存されていた画像で私は察した(けもの)

母の死後、父の安定剤となったのは女だった。あれから11年、女は実家に居座り続けている(柚希)

三角関係で拗れた友情。私と話せるのは10年後と聞き、何かががぷつんと切れた(中恭)

10歳の誕生日に家族で出掛ける約束していたのに、パチンコを優先した父(ゆみ)

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