環境問題にあんまり熱心になると、おかしい人だと思われる。
実際に知人が、SNSで「環境のために〇〇しよう!」と言う人をバカにしていた。こういう話を見聞きしただけで顔をしかめる人もいる。
私の周りの人が特別ひねくれている可能性も高いが、何故ここまで嫌われるんだろうと、少し前までは思っていた。

できることは人それぞれで、家の中でさえ難しい環境問題対策

家の中でさえ、難しいことはある。母はスポンジで食器を洗うし、床掃除も掃除機だ。
私はびわこふきんで食器を洗い、箒で床掃除をする。どちらも意外ときちんと汚れを落としてくれるし、苦にならない。でも母は面倒だからとこれを使わない。
衣類洗剤も、環境負荷の少ないものを使いたいと言ったら「環境にはいいのかもしれないけど、ちょっと高いし、近所で買えないのは困る」と反対されてしまった。
母の言うことはわかるし、私も出来ていないことだらけだ。知人には洗濯機を使わず手洗いする人がいるが、私には洗濯機を使わないという考えがなかった。
母も環境問題については気にかけており、ストローを断ったり、生ゴミを堆肥にしたり、食器洗剤は環境負荷の少ないものを使っている。それでもやはり、できることは人それぞれだ。やる気だけの問題じゃない。
逆に私には、庭に埋めるだけの方法のコンポストは難しい。大量の蛆虫を見て、私は地面の穴にそっと蓋をした。ダンゴムシやミミズまでは耐えられたが、蛆虫はなかなかきつい。
電気式ならよさそうだけど、自然の力に頼るバイオ式には不安がある。最近では虫を発生させないといううたい文句のものもある。試してみたい気もするが、母がせっせと庭にゴミを埋めているから、しばらくは私の家でこれらの出番はなさそうだ。
このような事情もあるし、忙しさや、家事にかけられる時間やお金は皆違う。他にやらなければならないこともたくさんあるのだ。環境問題対策だけをしていればいいわけじゃない。

環境問題は逼迫し、なんとかしなきゃいけないことは皆分かっている

他にもいろんなことをしているけれど、部分的にでも私が実行できているのは、他の人より時間的余裕があるからだけなんじゃないかとも思っている。定職についていた頃は毎日お昼はコンビニだったし、環境のことなんて少しも考えていなかった。
日本人は真面目に働き過ぎだという記事も見て、確かにそうかもと思った。

環境問題が逼迫した問題で、なんとかしなきゃいけないことくらい皆分かっている。分かっていてもできないその事情を汲まずにただ言われたら、嫌な気持ちになる人もいるだろう。
「そこはあなたが正しいよね」という考えで部分的に相手の言葉を受け取るならともかく、「あの人のいうことは全部正しい」と思って、環境問題に熱心な人の言葉を聞くのは、何の対策もとれていない人からしたら、つらいものもあるかもしれない。
「そんなの聞き流してもいいのに」と、がさつな私は思うけれど、日本人の純粋さが仇となったんじゃないか。

環境対策を人に勧めることは難しく、日本にあるたくさんの課題

エコな暮らしをすることで、気持ちにもお財布にも余裕ができることは私も実感した。ベア・ジョンソンも著書で「使い捨てのものを使うのは楽に見えるけれど、結局買ったりゴミを捨てたりするのも手間だ」というようなことを語っている。自信満々に「これは素晴らしい暮らし方なので、皆もよかったら試してみて!」と言われて、居心地が悪くなる人もいるようだ。確かに遠回しに他の生き方を否定することになるのかもしれない。人に何かを勧めるのは難しい。
何より、環境問題を声高に叫ぶ人に、実際行動が伴っているのか?というのが一番の問題らしい。確かに人に強要する人ほど、自身はそれほどではなかったりすることもある。完璧に出来ていなければ、広げようとしてはいけないなんてことはないけれど、ちょっと考え物ではある。
京都府の亀山市のように、まず行政が調査や実行をして、行政が市民の声をよく聞き、市民と行政が一体となって環境問題に取り組み成果をあげた例もある。お互いの声を聞き、根気よく取り組めば、日本でもアクションを起こしてくれる人が増えるはずだ。

一方で、他にも課題はある。
海外のドキュメンタリーには、真摯に環境問題に取り組んで作られ、解決方法まで提示されているものがあるのに、日本でそれを見る機会は少ない。夕飯時に見ようとしたら、親から「見たくないから(番組を)変えて」と言われてしまった。まずは知ることが大事なのだが、目を背けてしまうようだ。
何も"した方がいいこと"の全てをする必要はない。一生懸命しなきゃいけないわけでもない。出来ることを1つでも選んで生活に取り入れたら、それだけでも効果はある。

一人の100歩より、100人の一歩の方が意味がある

環境問題なんて誰も考えていないだとか、一部の人が勝手に言っているだけだとか、多くの人は興味がないとか、まぁそうかもしれないけれど、私には少しの希望がある。
図書館の環境系の本が、意外と貸し出されているのだ。予約待ちになっているものまである。蔵書が多いのは当たり前かもしれないが、実際読む人が多いのは嬉しい。
そしていろんなところで、おしゃれなエコグッズがたくさん売られていることだ。サイトやお店自体もかわいいことが多い。
こういうものを使うだけでも、エコにつながる。「TwoTrees」の製品も試してみたいし、「プラなし生活」はわかりやすいサイトだし、シャンプーバーやマイストローを出している会社は多数ある。私は結構東急ハンズでエコ製品を購入しているから、近くで買えるものも意外とある。箒なんかは近所のホームセンターで購入した。外国製の安物だが手作りだそうで、見た目も素材もなかなか良い。
一方で東京の方には、おしゃれな量り売りのお店や、環境に優しい衣服のお店、おいしいヴィーガン料理のお店やヴィーガン対応の高級店など、エコなお店がたくさんあって羨ましい。私の住む地域にもないわけではないけれど、数が少ない。
一人の100歩より、100人の一歩の方が意味がある。一人でも多くの人が、一歩を踏み出してくれることを祈っている。