今年の夏、私は28歳で結婚した。
相手は高校の友人を介して知り合った、2歳年上の優しい彼。
交際・同棲期間、約2年を経ての結婚だった。

彼と交際を始めたときに「サプライズプロポーズはしない」と約束してもらった

そんな私たちには交際後、間もなくから約束していたことがある。
それは、唐突なサプライズプロポーズはしない、ということだ。
私はこれまで映画やドラマ、そしてSNSでよく目にする結婚や婚約の「ご報告」について、違和感を抱いていたことがある。「大好きな彼にプロポーズしてもらいました」や「まさかプロポーズしてもらえると思っていなかったから、まるで夢の様です」。
……なぜ受け身なのだろうか。
はたまた、たとえば婚活クラスターが一部で呟いている「今日こそプロポ来い……!」。
……なぜ結婚するのかしないのか、するのであれば誰とするのか、自分の人生を大きく左右する人生の帰路なのに、全ての選択肢を相手に委ねているのだろうか。

私がこう考えるのは、これまで「選ばれる側」としての立場を数多く経験し、その都度屈辱を味わってきたからではないかと考える。
学生時代に所属していたアナウンスサークルでのMCオーディションや、大学のゼミ選考、就職活動、社会人になってからの部署異動のための面接まで含めると枚挙にいとまがない。

常に「選ばれる側」は、「選ぶ側」よりも立場が弱いものである。
例えば就活では選考活動が当初の予定通りに遂行されないことだってあったし、不採用の場合には合否通知すらもらえないことだってあった。
私はその都度、人生の究極の目標は「なんで私じゃないの?」をひとつでも減らすことであり、同時に常に「選ぶ側」であり続けることであると認識してきた。

私は相手に何の相談もなく、プロポーズをする男性に嫌悪感があった

従って私は、プロポーズひとつとっても、彼女への事前相談もなくある日突然サプライズプロポーズを企てるような男性は、自分が「選ぶ側」で、彼女が「選ばれる側」であると錯覚しているのではないかと邪推し、その傲慢さに(他人事ながら勝手に)嫌悪感を抱いていた。
そんな訳で、もし私が何の前触れもなく突然彼から指輪パッカーンなんてされようものなら、千年の恋も冷めてしまうに違いないのであった。

そこで私は考えた。
私自身が結婚を意識し始めたタイミングで、もしあなたも同じ気持ちなら、決意が固まったタイミングでスケジュールや検討事項を相談して欲しいとお願いしたのだ。
理解のある彼は、私の願いを受け入れ、柔軟に対応してくれた。
これにより入籍までに私たちは「結婚戦略会議」を数回繰り広げ、入籍までのスケジュールから将来的なライフプランまで入念に擦り合わせることが出来た。
コロナ禍の結婚で一筋縄にはいかないことも少なくはなかったが、今日まで衝突がほとんどなく円満に過ごせているのは、この成果なのかもしれない。
だって結婚はロマンティックなだけでなく、この先何十年もの生活に関わるリアリスティックなものなのだから。

プロポーズを待つのではなくて、自分の「理想」を相手と擦り合わせること

彼と結婚に至るまでの約2年間を振り返り、私が強く実感しているのは、自分らしい結婚を実現させてもらえたことが、これから先も彼と一緒に人生を築いていける自信に繋がっているということだ。
私たちの結婚までの道のりを「全然ロマンチックではなくて嫌だ」と感じる人ももちろんいると思うが、私は私の理想を叶えてくれた彼にとても感謝しているし、信頼感もより一層深まった。

結婚に至るまでの期間、ただプロポーズを指を咥えて待つのではなく、自分の理想を具現化すべく彼と擦り合わせを行っていくことが大切なのではないか。
またそれが、長期的な家庭円満の秘訣なのではないか、と思っている。

全ての女性が、それぞれの理想を具現化し、幸せな人生を送れますように……!