アセクシャルでバツイチの私はまもなく出産。円満な結婚とは何か

2021/01/30

私は残り数日で30歳を迎える。そして、私は残り数日で第一子との出会いも迎える。

私のジェンダーはアロマンティックアセクシュアルで、「他者に対して恋愛感情を持たない」アロマンティックと、「他者に対して性的魅力を感じない」アセクシャルの両方の性質を持っている。
自分自身の性を認識したのはここ数年。今まで交際した異性は多数いたが、「この人が大好きだから結婚したい」と思った相手はやっぱりいなかった。

腹違いの兄はささやいた。「俺はお前たちを愛してるからな」

恋愛感情も理解できない私に結婚なんてできるのだろうか

とは言っても結婚願望がなかったわけではない。物心付いた頃から漠然と将来は自分の家族を持ちたいと強く望んでいた。恋愛がしたいとか子供が欲しいとか難しい問題じゃなかったと思う。単純に自分の家族を持って毎日楽しく幸せな日常を過ごしたかったのだろう。

思春期に入ると異性から交際を求められる機会が多くあったが恋愛感情が理解できずに悩み、「相手を生理的に無理か無理じゃないか」で判断して返事をするようになった。
相手に固執することもないので「無理になったら即別れる」という基準を設けて、飽きてしまったら別れること繰り返していた。

そうなると基本的に嫌いな相手がいない私はイエスマンになってしまって、異性と交際する機会が増えた。そして、歴代のパートナーの人数がすごいことになってしまった。

恋愛感情も理解できない私に結婚なんてできるのだろうかと不安になり始めた時期でもあった。

たまたま泊めてもらった知人男性とのスピード結婚

両親は厳格でも冷酷でもなかったが過干渉で若干の毒がある。
私が思い通りにならないと脅し文句を叫んで「ここはお前の家じゃない！　住まわせてもらっている身の上なのだから言うことを聞け！」などと罵られた。

一人暮らしをすることを反対するくせに、会社に勤めても門限が厳しくて、残業などで連絡が遅くなったり門限を過ぎたりすると酷く叱られた。
「言う通りにできないなら施設に入れて一生閉じ込めてやる！」なんて言われることは日常だったのだ。

恋愛感情がわからない、だけどこのまま実家に軟禁される人生も苦しい、そうなった私は相手がいて機会があれば早く結婚したいと考えるようになった。
幸せな日常ではなく、自由になる選択肢としての結婚を望むようになった。

24歳の時に面接に行った職種が母の逆鱗に触れたことをきっかけに家を追い出されてしまい、たまたま泊めてもらった知人男性Aと流れでスピード結婚した。

Aは年上で離婚歴があり、老後のために再婚願望があったし、私は実家を出る強制的な口実が欲しかったので籍を入れたが、Aにとって妻は稼ぎに行かせる奴隷で、私にとって”夫は妻に人権を与えない暴君”になってしまって、2年半の結婚生活の末に破綻した。

幸せにしたいと思う人に出会い、新しい命が宿った

26歳にしてバツイチになった私は、結婚に夢がないことがわかっただけで結婚そのものはわからないままだった。

しかし、離婚して半年後に今の夫に出会って、更に1年後に今の夫と再婚することになったのだ。
今の夫も年上で離婚歴があったが、Aと違って努力家で他者を尊重する人だった。私は性質として今の夫にも恋愛感情を抱くことはなかったが、交際前から「きっと、この人と結婚したらちゃんと家庭を築けそうだな」と感じていた。