私がSNSを始めたのは大学生になってからだった。その時まではスマホに機種変更をしてからラインを使うくらいで、特に自分から発信していこうという意思がなかったのだと思う。
大学生になると、周りがキラキラして眩しいオーラを纏って息が詰まる毎日。体力が落ちないようにと入ってみたサークルで、「え? インスタとTwitterやってないの? 嘘でしょ、出遅れすぎ~」と他の学部の女子から馬鹿にされた。SNSをやっている人類が偉い世の中なのか、と思わず私は失望した。

見返そうと躍起になり、売られた喧嘩を半分は買う形でSNSを開始

私の場合、両親から「少しはスマホを手放す時間を作りなさい」「スマホばっかりで課題進まない様子じゃ、落第するわよ」等と指摘されたことで我慢している節があった。大学には色んな人が密集する。そして無神経な発言をしてくる人がいるのは当然のことだと悟るしかない。彼女は私を集中的に馬鹿にしていた。面白いくらいに、嘲笑ってくれた。おかげで課題のネタになったので、むしろ感謝しかしていない。

最初は見返そうと躍起になって売られた喧嘩を半分は買う形でSNSを始めた。Twitterを始めて、中学時代の同級生と繋がる。自分の興味あることや、日常のことを呟いたり戸惑いは多かった。そのうち、サークルは途中で辞めて、アカウントも3つくらいは削除した。サークルを辞める頃には、SNSに染まっていく自分に嫌気が差して、心機一転する機会を狙っていたのかもしれない。

次に作ったアカウントは好きなアイドルに関するアカウントだ。今で言う、推し事を充実させて心を癒せる場所を作ることにした。そこでは同じグループの人を推す人を同担拒否、グループやユニット全員を推すことを箱推しというのだと学んだ。

しかし、Twitterで繋がるのは全員年下で生意気な人が多くて火のないところに煙が立ち込んで仕方なかった。〇〇同盟という契りのようなものを交わして、ネット上で家族を作る人もいた。そのオタクアカウントは好きなアイドルの結婚を機に削除して、もっと自分の趣味を増やしたいと考えが変わってきたことでSNSの利用形態は大きく改善されていった。

関わり方に注意していても、事件などの報道を見ると恐怖心は消せない

私自身の飽きっぽい性格や冷めている姿勢は受け入れられにくいところもあると思う。顔を合わせて関係を続けるのと、SNSで言葉と声だけで続く人はきっと少ない。ラインもカカオも交換するのは怖くて、関わり方は特に注意をしている。

けれど、ニュースで報じられるように希死念慮で自殺願望者の手伝いという名目の殺人事件や、Twitterに挙げた写真から場所を特定したストーカー事件、妻が旦那の殺害依頼をネットユーザーから探して事件が起きる等の報道を目にすると、恐怖心は消せなかった。
ライン虐めもTwitter虐めも犠牲者が後を絶たない。始まり方も不明瞭なことが多くて、下らない理由から汚染していく。

弱者を嘲笑ってストレスを発散するのは、そんなに楽しいことなのだろうか。私はこの問いに何て答えても自分が納得しないだろう。正義と悪の問題になれば厄介だ。理解者が多いに越したことはないけれど、どこかですれ違えば敵意が生まれる。その敵意は凶器になって人々の傷付け合いは、生きている限り続いていくのだと思う。

もう振り回されたくないから、割り切る心と受け入れる心を忘れない

学校や職場で顔を合わせる相手から何か言われたら誰かに相談しやすい反面、見ず知らずの相手と関わって、SNS上で上手く距離感を取り持っていかないといけない。それは決して容易いことではない。

どんなに気を付けていても、仲良くしていたユーザーから、ダイレクトメッセージ拒否をされたこともある。私は本人に確認できた。とぼけて緩い謝罪を受けた後に暫くして、再度の拒否をされた。全てのユーザーから拒否をしているか、特定のユーザーからの拒否設定なのかは不明だったが、考えるのも気疲れしてしまった。私が何かしたわけではないとハッキリ聞いたのにも関わらず、このザマだ。

SNSとの距離感を上手く取れる器用な人はいるのか。もし居るなら、その人はストレスとの付き合いが異常に上手くて、人間関係も常に潤っているのだろう。
今の私には憧れる気持ちがそういう人たちに向いていない。社会人になると、学生と違ってなるべくストレスを増やしたくないし、溜めたくもないものだ。
ストレス発散方法は、新型コロナウイルスの影響で選択肢が狭まって窮屈に過ごしているが、甘いものを食べて眠れば次の日にはどうでも良くなるように心と脳をコントロールしている。

できることならSNSとの距離感を上手くしたい。でもそれを長続きさせると気疲れとネット依存が止まないから、私と関わりを遠ざける人は追いかけたりしない。割り切る心と受け入れる心は忘れてはいけないと改めて思った。もう振り回されたくない。