韓国のブラックデーをご存知だろうか。
韓国には2月14日のバレンタインデー、3月14日のホワイトデーを経ても恋人が出来なかった若者が4月14日に集まり、黒い服を着て黒いジャージャー麺を食べ、独り身の悲しみを慰め合うブラックデーなる日が存在するらしい。
4月14日に黒い服でジャージャー麺を食べることが、自分がフリーであるアピールとなることから、出会いのキッカケとして重要なイベントになりつつあるのだとか。

ハタチのクリスマス、彼氏がいない私たちは「聖誕記念 日光旅行」を計画

日本にブラックデーの文化がやってきたのは2015年頃だったと記憶しているが、それよりも少し前、私も似たようなイベントを経験したことがある。
今から9年前、大学2年時のクリスマスだ。

当時私は入学当初からずっと一緒にいる女の子達と、授業片手間にやれ合コンだ、やれ学祭だと自由気ままに過ごしていた。
みんなバイトもサークルも別々だったけれど、お昼や授業後にはラウンジに集合し、日夜ガールズトークを繰り広げる、とても賑やかなグループだった。

そんな私たち、クリスマスを目前に5人全員独り身であることに気付く。
焦ったり嘆いたりする子はひとりもいなくて、この輝かしいハタチに誰も彼氏がいないという素晴らしく希有なクリスマス。
その日を如何に面白く過ごすかを肴に、何杯もお酒を飲んだ。

そして辿り着いたのが、「聖誕記念 日光旅行」である。
決して悲観している訳ではなかったが、「リア充爆発しろ」の気持ちを最大限に盛り上げるべく、敢えてクリスマス色の無い場所でクリスマスらしからぬ楽しみ方をしようという作戦だ。

三味線の音を聞きながら、和食に日本酒、和菓子を楽しむクリスマス

クリスマスイブに新宿駅に集合し、日光の温泉旅館までバスで移動。
旅館でゴロゴロすることが目的だったが、申し訳程度に日光東照宮へ参拝に。
観光モチベーションが極端に低かったので、東照宮に着いたのが拝観終了時間15分前とかなりギリギリ、駆け足で参拝したことを覚えている。
旅館に帰ってからは温泉を堪能したのち、ディナーにフレンチではなく和食、お酒にシャンパンではなく日本酒、デザートにケーキではなく和菓子を楽しむ。
プレゼント交換もしたがそれは贈り物交換、バックミュージックも雅楽だった。
三味線の音を聞きながら、ハタチの女子5人が浴衣で日本酒を酌み交わす、なんとも異様なクリスマスである。

道中のバスでは、韓国のブラックデーさながら「旅行先で私たちと同じようにフリーの男の子達と運命的に出会ったりしないかな?」なんて話していたが、そんなことある訳もなかった。

今までもこれからも、「クリスマス」と聞くと「恋人」を連想する。
これから子供が生まれたりしたら、「恋人」が「家族」や「子供」になるのかな、なんて考える。いずれにしろクリスマスは最愛のパートナーと一緒に過ごすイメージが強いのだ。

男一瞬ダチ一生。平成ギャルのかけがえのない思い出

私はアラサーである。
きっと中学か高校か?物心ついてからのクリスマスは歴代の彼氏と過ごしてきたのだろう。しかし不思議なことに、その記憶は全くない。
つくづく「女の子は上書き保存」とはよく言ったものだと思う。
当時どんなにロマンティックなクリスマスを過ごしたとしても、別れてしまえば何も残らない。もちろん写真も消している。プレゼントも処分した。
はじめからそんな思い出存在しなかったことになるのだ。

それでは日光で過ごしたあのクリスマスはどうだろう。
今でも鮮明に思い出すことが出来る。

「男一瞬、ダチ一生」。うんうん、ほんとその通り。
平成ギャルは回想する。
ハタチ特有のノリと勢いで決まった旅行だったが、あの異様なクリスマスをみんなと過ごせた私は幸せだ。
かけがえのない思い出であり、宝物が出来た。