#01

新型コロナで減った私たちの収入

新型コロナウイルスの影響で、今冬はボーナス支給の減額や見送りが広がる。2008年のリーマン・ショック後以来の急落で、家計への打撃となっている。

「ローン払えなくなる」 冬のボーナス減で家計相談3倍:朝日新聞デジタル

新型コロナウイルス感染症の流行により、緊急事態宣言が発動されたり、感染拡大防止のため多くの飲食店やお店が時短営業や休業をしたりするなど、2020年、私たちの生活ががらっと変化しました。

そういった社会の変化は多くの企業にも経済的な打撃を与え、私たちの収入も影響を受けています。

実際のデータで見るコロナ禍の給与やボーナス事情

厚生労働省の発表によると、2020年の労働者一人当たりの現金給与総額は前年比1.2%減となっています。

また、ボーナスも前年比7.5%減(みずほ総合研究所)、前年比8.0%減(第一生命経済研究所)と様々な調査で前年比減とされているほか、減額だけならまだしもボーナス自体が出なくなってしまったという人もいるほど、コロナ禍の影響が私たちのお財布事情にもふりかかっています。

みずほ総合研究所の発表をもとにbizble編集部作成

2021年に2度目の緊急事態宣言が発出された地域もあり、ワクチン接種は始まったものの以前のような社会様式に戻るにはまだまだ時間がかかりそうです。

今後数年は、給与やボーナスなど私たちの手元に入ってくるお金が突然たくさん増えるということは期待できない、と思っておいたほうがいいかもしれません。

働き方が変わると、給与体系はどう変わる?

コロナ禍で生活様式が変わり、リモートワークをメインとする会社も増えています。会社へ出社する機会が減ったことから、通勤手当の代わりに在宅勤務手当が出るようになったという会社も。

通勤手当は限度内であれば  非課税となり、支給されても手取りには影響がない一方で、在宅勤務手当は支給のされ方によって手取りの金額にも影響があります。

在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を支給する場合は、実費分が給与に上乗せされ課税はされませんが、在宅勤務手当として毎月定額の支給がされる場合、所得税の課税対象となります。

つまり、在宅勤務手当分が額面としては増えることとなりますが、その分の所得税も引かれるため、在宅勤務手当の金額がそのまま手元に入ってくるわけではありません。

また、通信代については業務のための通話料は非課税となり、そのうえで基本使用料やインターネット接続に係る通信料、電話料金については、国税庁が下記の計算式の範囲内の金額であれば非課税としています。

国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」より
国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」より

働き方の変化に伴い、給与体系についても新しい取り決めが生まれる一方で、それに伴って実際に私たちの手元に残るお金にどんな影響があるのかということにも目を向けていく必要があります。

コロナで残業代も減少。収支バランスに余裕を持とう

コロナ禍の給与減の原因として、厚生労働省の調査でも残業代や休日出勤手当などにあたる所定外給与が前年比12.1%減という結果となったことが考えられます  。

勤め先の業績が悪くなったことによる減給やボーナスの減額だけではなく、コロナ禍の勤務形態の変化で残業をする機会も少なくなり、残業代ありきで月々の生活費を組んでいた場合など、手元に入ってくる金額が減ってしまった影響でお金のやりくりが苦しくなったという人もいるのではないのでしょうか。

今回は経済的打撃がなかったという人でも、今後もいつ何が起きて、収入に影響が出るかわからないという意識をしっかり持ち、収入と支出のバランスに余裕が持てるお金の使い方を心がけていきましょう。

(朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)