元々文房具が好きで、ショッピングモールや書店の一角にある文具売り場を訪れては、買いもしないのに長々と文房具を眺めることが、私の至福の時間だった。
特に筆記具が好きで、小学校の頃は鉛筆、中学高校ではシャープペンシルを自分の買える範囲で集めては、たくさん文字を書いて遊んでいた。

大学生になっても筆記具は相変わらず好きで、低価格のボールペンをいろいろ試して、このメーカーのインクは滑らかで書きやすい、このボールペンはかすれにくい、など趣味で実験するほどだった。そしてあることがきっかけで、私は万年筆の世界へと足を踏み入れることになった。

友人からの誕生日プレゼント、万年筆。私はあっという間に虜になった

1年前、友人が誕生日プレゼントに万年筆を送ってくれた。ドイツのメーカー、LAMYのSafariという万年筆。初心者向けのとても書きやすいもので、私はすぐに気に入ってしまった。
それまで私は万年筆に興味はあったものの、高価なものというイメージがあったため手を出せないでいた。しかし、最近は数百円で買えるような低価格の万年筆も多く発売されている。

万年筆は力を入れずにさらさら書けて腕が疲れない。そのため長時間書くことができて、勉強などの作業がとてもはかどる。そしてなんといっても、書くのが楽しいのだ。ペン先からインクがなめらかに出て、時間がたつにつれてじわじわと乾いていく様子が見ていて楽しい。インクの色も時間がたつにつれて淡くなっていくから、何とも味わい深い。

はじめは万年筆に付属していたカートリッジのインクを使用していた。カートリッジは中のインクがなくなったら付け替えるだけでインクが補充でき、手が汚れにくいためとても使いやすい。しかし私は他の人に比べて文字を書く頻度が多いため、カードリッジだとすぐにインクがなくなってしまうのだ。

もっとコスパのいいインクの補充方法はないかとインターネットで探していると、「コンバーター」というものにたどり着いた。
コンバーターは簡単に言うと空のカードリッジで、つまみを回すことでボトルのインクからインクを吸引できる道具である。コンバーターを使うということは、必然的にボトルインクが必要になるのだが、長い目で見たらカードリッジを使うよりもコスパがいい。
ということで、私はカードリッジからコンバーター式に移行することに決めた。ここから私はずぶずぶと、インク沼にハマっていくことになる。

インクの沼にずぶずぶはまる。私のインクコレクションは日々、増えていく

インク選びのオーソドックスな方法は、万年筆と同じメーカーのインクを選ぶ方法であるが、そこにこだわりすぎる必要はない。自分が好きな色をお気に入りの万年筆に吸引して使えばいい。一番手頃に買えるのは染料インクで、カラーバリエーションが豊富なためいろいろな色を楽しむことができる。

インクを選ぶのはとても楽しいのだが、けっして安価なものではないので予算内で買おうと思うと、選ぶのにかなり時間がかかってしまう。この前、新年のプレゼントということで百貨店の文具売り場に青系のインクを選びに行ったときも、かなり時間がかかってしまった。
青といっても黒に近い青、空の色のような青、紫に近い青などいろいろな青があって、なかなか一つに決めることができないのだ。結局ターコイズブルーに近い青色のインクを買ったのだが、お会計している際中から他のインクも欲しくなってしまった。

インク沼に浸かって以来、SNSで様々なインクの投稿を見て、次はあれを買おうか、これを買おうか、とインク欲が止まらなくなってしまっている。
けっして安いものではないし、使い切るのにも時間がかかるのでホイホイ買うのは良くないのだが、どんどんいろいろな色を試したくなる。とりあえず、今は青系のインクを集めて、微妙な色の違いを楽しみたいと思っている。
これから私のインクコレクションが、少しずつ増えていくのが待ち遠しい。