私の最大のコンプレックスは、嫌なことをされた時や失礼なことを言われた時に咄嗟に言い返せないことだ。

不快だった営業、失敗した美容師…今だったら言いたいことがたくさんある

人に失礼なことを言われると、頭が途端に真っ白になってしまい、何か言おうにも息が詰まるような感じがして結局何も言えずに黙ってしまう。
もしくは、雰囲気にのまれてその場では気づかないが、思い返してみたら実はとても失礼なことを言われていて、後になってムカムカすることもある。人に嫌われたらまずいという気持ちも強く、その場ではついニコニコしてしまう。
私が大人しそうに見えるのもあって、反撃してこなさそうだから言われやすいというのもあるのだろう。

大学時代、WEBデザインのスクールの説明を受けに行った時、営業の男にプライベートを根掘り葉掘り聞かれた上、小馬鹿にした態度を取られたことがある。

「サークルには入っているんですか?」と聞かれ、入っていないと答えるとドン引きされた。その後もプライベートな話を色々聞かれ、私があまり社交的ではないのが分かってくると「めちゃくちゃインドア派じゃないですか(笑)」と言われた。陰キャラをインドア派に言い換えてバカにしたのだろう。しまいには親の職業まで聞かれた。私がサービスを購入する見込みがあるかを測る意図で聞いたのだと思う。親が良い職業に就いていて金持ち
なら、親に学費を出してもらうとでも思ったのだろう。本当に不快で、この時点で絶対に入学しないと決めていた。

それでも、その場ではずっとヘラヘラしていた。後日その営業から電話がかかってきたが、話に出たところで何を言えばいいのか分からず出られなかった。
結局そのままフェードアウトしたが、当時を思い出す度に「WEBデザインとは無関係な私のプライベートばかり探ってきて、正直私のことバカにしてましたよね?私なら自分をバカにするような人からは買いたいと思いませんけどね」と心の中でキレている。

他にも、美容院でパーマを失敗され、髪がチリチリでボロボロになったにもかかわらず、何も言えずに普通に代金を払って帰ったことがある。
今思えば、「こんなにボロボロの髪の毛になったのは生まれて初めてです」とでも言ってその場で大泣きしてやればよかった。大泣きして注目を集めれば、とにかく早く帰ってもらいたいがために施術料金くらいは無料にしてもらえる可能性もあっただろう。

言い返し方を夜通し考える。次のタイミングで引き出しから出せるように

私は、過去を振り返ってどう言い返せばよかったのか、最適なアンサーを考えるようにしている。
努力してやっているというより、これをしないとすまない性なのだ。こんなことをしているから昔言われた嫌なことはずっと覚えているし、病みやすかったりもする。それでも悔しさから、どうしても夜通し考えてしまうのだ。

私のようにとっさにうまく言い返せない人は、頭の中の引き出しに答えを用意しておくしかない。今後似たようなことが起きた時に、事前に用意しておいた答えを引き出しからさっと取り出せば、もう少し上手く返せるのかもしれない。
私と違って機転の利く人や、ポジティブで嫌なことはすぐに忘れてしまう人からすれば馬鹿馬鹿しいかもしれないが、私はこんなことを本気でやっているのだ。

極端な話、私はクレーマーになりたい。
クレーマーは若い人より年配の人が圧倒的に多い。そういう人は老害と言われたりもするが、長い年月を生きてきた人の行動にはある程度の合理性がある。もちろんキレる場所やタイミングなどを見極める必要はあるが、黙って泣き寝入りするより、言いたいことは言った方が得なのだ。

ただし、私のように口下手な人には別の方法もある。攻撃の方法は直接相手に言うだけではない。

咄嗟に直接言えなくても書き込める。嫌な奴になってもいいのだ

私は感じの悪い店に当たった時には、グーグルマップに悪いクチコミを書くようにしている。書き方にもコツがあって、まず個人名を出すのはアウトだ(そのようなクチコミはコンプライアンス的にまずダメで、削除される可能性が高い)。

ムカついた、気分が悪かったなど、自分の感情を中心に書くのではなく、実際に起きた出来事や相手の言動を中心に、いかに不当な扱いを受けたかを主張する。自分の口コミにいいねがたくさんつけば、少しは気が晴れるだろう。
相手のどの言動が不快だったのか、それに対してどうして自分が不快に思ったのかを掘り下げて文で表現するのは、心の整理にもなるし、直接言い返すためのトレーニングにもなるのでとてもおすすめである。

過去の嫌な奴にはもう二度と会えないが、代わりに未来の嫌な奴に向けて着々と引き出しを増やしている。年を取るにつれて自分自身がどんどん嫌な奴になっているのは分かっているが、私はこれでいいのだ。