「あの人、女の子レベルだから。 平野さんでも分かることなのにね」と、取引先の男性のミスを、そう言い放った私の隣の席の営業男性。私は、「あぁそうなんですか」と愛想笑いをして適当に流すことしかできなかった。

「女の子レベル」について言い返し、彼らの概念が変わるわけでもない

そのあと沸々と怒りが湧いてきた。「女の子レベルって何ですか?」と言い返せば良かった。でも、言ったところで彼の根底にある概念が変わるわけでもないし、だけど言われっ放しもなぁ。けど、面倒くさい奴だと思われそうだし、まぁ、もういいや……。堂々巡りの結果、怒ったところで彼を変えることはできないという、いつもの思考パターンに落ち着いた。

だけど数日経っても、もやもやは消えなかった。“女の子レベル”って、どんなレベルなんだ。

一般職で事務をしていることは、そんなに能力が低いことなのか? 私は高校時代、一応、進学校に通っていた。成績は特段いいわけではなかったけど、ほどほどに真面目に生活をしていた。大学は都内の女子大に通って、それなりには頑張ってきたつもりだった。

女子校、女子大と来たもんだから男子と比べられることはなかったし、こんなにもあからさまに女性を馬鹿にする人間もいなかった。それなのに、自分のしがない矜持を少しずつ欠いてくるその言葉。悔しい。

一般職の女性だから、研修への参加対象にされないのはおかしくない?

一般職という職種を選んだのは、事務職に就きたかったからだ。求人のうち、事務職イコール一般職がほとんどで、女性であるから仕方がないと思っていた。しかし、それがこんなにも男性との線引きの対象になるなんて。

思えば私の就いている会社では、事務職は内勤の営業なんて言われているほど、取引先との接点が多いのに、「一般職だから知識はここまで」と線引きをされて、研修などの参加対象にしてもらえない。現場に連れて行ってもらったことなんて一度もない。お願いをしたことはあるが、「危ないから」「邪魔になるから」なんて理由で見に行かせてもらえなかった。

それでもなんとかカタログを見て、その場を想像して、現場の人と話しながら自分の知識を重ねていく。分からないことは調べて、聞いて、積極的に動いてきた。2年目には新入社員の男性相手に、1年間の勉強会も行った。それなのに。

私の職場の男の人たちは、立場的弱者としての女の子を登場さている

現在29歳。「女の子」と言われたら笑ってしまう。それは、自分が既にそうは見えない見た目をしていることを承知しているからだ。それなのに、彼らは「うちの女の子」と知識的、立場的弱者としての女の子を登場させ、「だからしょうがない」とか「だから間違っている」とかそんな言葉に繋げている。「それ、間違えたのお前じゃん」と、私は心の中で怒りを握りつぶしている。

私も私だが、彼らは“若い”意味での“女の子”と認識してますよ、なんてアピールをしているようにも思えてきてしまう。そんなことに慣れてしまって、もう7年もこの職場で続けてきてしまった。年下の営業男性にもいつか「うちの女の子」なんて言われてしまうのだろうか。

こんな感覚が麻痺してしまった状態、絶対におかしい。だけど、一個人の力で他人の考えを変えることができないことも知っている。これは、社会の問題だと思う。男女格差が埋まらないのも当然だ。悲しいけれど、女性が声を上げたところで間違った意味でのフェミニストだとか、揶揄されるこの国の実態が自分の身近にある。