私は孤立した。
決められたルールを守っただけなのに。
決められていないルールを守らなかっただけなのに。
決められたルールを守っていた私は、周りからも先生からも孤立した
私の通っていた中学高校は校則が厳しかった。靴下は白のみ。ヘアゴムは黒か紺。スカート丈は膝下。リボンは首が絞まるほどキチキチでなければならなかった。
朝、玄関で待ち構えている生活指導の先生に何人もの生徒が捕まっていた。私は6年間、1度も引っかかることはなかった。なぜなら全て守ってきたからだ。
決められたルールを守ることは当たり前。破って怒られるくらいなら多少窮屈でも守れば安全。周りからも先生からも真面目だと言われた。
しかし、私は周りからも先生からも目をつけられた。冷たい目で見られ、結果的に孤立した。
私は校則、決められたルールを守るために買い食いは全て断った。校則違反となる遊びの誘いも断り続けた。すると自然と私の周りには人がいなくなり、まっじめぇ、さっすが優等生!とからかわれるようになった。
また、私は疑問に思ったことや正しいと思ったことは目上の人でも直接伝えていた。目上の人には逆らわないという暗黙のルールは守らずに。
先生、大会の資料届いたら教えてくださいって前々から言っていたのに、どうして教えてくれなかったんですか?
先生、この数IIの問題ができなかったら猿以下だとおっしゃいましたが、その言い方は間違っています。
幼稚園の先生は誰でもできると言いましたが、先生は実際の幼稚園現場見たんですか?
暗黙のルールを破り、正論をぶつけた私に向けられる冷たい視線
私は正論を言ったまでだった。正しいことを言ってはいけないなんてルールは存在しない。言い返せるなら言い返せばいいと思った。
「お前の言っている意味がわからない!」「できて当たり前だからだ!」「そんなことお前も知らんだろ!」
言い返す先生たちは怒鳴るだけで中身は薄い。真っ当に言い返せないから虚勢を張るだけ。みっともないと思った。
でも、このことをきっかけに私はあらゆる先生から冷たい目で見られた。問題児のレッテルを貼られた。
大会に行く時の引率の先生を決める件では、あからさまにたらい回しにされた。僕は君を不快にさせかねない。私はその大会分野のことよく知らない。
どれも大きな理由にならなかった。自分より立場の上の人に正論をぶつけたことで、私は先生からも見放された。
決められたルールを守り続けることで周りからからかわれた。目上の人に逆らわないという暗黙のルールを破り正論をぶつけた結果、先生は冷たい視線しか向けなくなった。
決められたルールや暗黙のルールを全て守ることが正しかったの?それとも決められたルールや暗黙のルールを全て破ることが正しかったの?いや、1番生きやすいのは決められたルールは破り、暗黙のルールは守ることだった。からかわれず済んだし、先生から冷たい視線で見られることもなくなる。
孤立した私は、ルールを破り、暗黙のルールは従うことにした
孤立した私は、学校での居場所を失った。
ルールは間違っているものは正すべきで、守るべきルールは守り続けたかった。
でも、目上の人に正しいことを主張したら生きづらくなった。
だから、私は悪いことをしたわけでもないのに頭を下げるようになってしまった。暗黙のルールを守る。身軽さを選んだ。自分の意にそぐわなかったとしても。
バカみたい。決められたルールを守ることをバカにする人も、目上の人には従うという暗黙のルールを守り、目上の人にゴマスリする人も。そう思っていた。
でも、私は負けた。負けてしまった。悔しかった。もどかしかった。やるせなかった。
負けた代わりに生きやすさを手に入れた。身軽になった。頭を下げていたら冷たい目を向けられることはなくなった。
私の中にモヤモヤだけが残った。
なぜ、正しいことを貫けば生きにくくなるのか。
なぜ決められたルールを守ればからかわれるのか。
いつか……そんなおかしなルール破ってしまいたい。
正しいことは正しいという、間違っていることは間違っているという、たとえ立場が低くても。
ルールはより良くするためにあるべきだ。
必要ないものは破り、必要なものは守り、それをバカにしないバカにされない、そんな社会を私は作りたい。