外出自粛で不便な思いをしたけど、悪いことばかりじゃなかった

2020年の始めに新型コロナウイルスで騒がれ始めたとき、私は地元を離れて一人暮らしをしていた。外出自粛を余儀なくされて、不便な思いはしたが、私にとっては悪いことばかりではなかった。

3月の末に合唱団の定期演奏会があり、私たちはそれに向けての練習をしていた。3月の半ばになると様々なクラスターのニュースがあり、当該の人たちがテレビやネットで叩かれているのも見ていた。その中で、開催をするかどうか、するとしても出演するかどうかでずっと迷っていた。

結局は無観客で行われることになり、私はそれに出演しないことに決めた。このぴりついた情勢で唾が飛びやすい合唱を続けることに疑問を持ったからだ。決断が間違っていたとは思わないが、それ以来合唱がまともに出来なくなったのでいくらかのさみしさは残った。しかし、空き時間が増えたことは前向きにとらえようと思った。

帰省できないものの、充実した一人時間を過ごせたゴールデンウイーク

私の勤め先はテレワークが出来ない業種ゆえに、出勤していた時期もあったが、会社より出勤日を減らす操業短縮やゴールデンウイーク中の帰省と外出の自粛を言い渡され、その期間の部屋での引きこもりが確定した。自粛によりお金や時間が浮いたので、ひとりでいる部屋でいろいろなことをした。

食の面では、長らく行っていない母の地元のお菓子を取り寄せたり、当時住んでいた地域のレストランでちょっと良いミールキットを購入してその味を堪能した。久しぶりのお菓子は相変わらず美味しかったし、レストランの味を家で味わえたのは貴重な経験だった。自粛で苦しんでいたお店への小さな手助けにもなったと思う。

また、当時はマスク不足で不織布マスクが入手しづらかったため、ミシンを引っ張り出して布マスクを制作した。ミシンは購入以来ほとんど使っていなかったが、試行錯誤しながらなんとか布マスクを完成させることができた。ミシンの使い方を覚えたところで楽しくなり、リバーシブルなポケットティッシュカバーやパッチワークを作るのにも夢中になった。

家にいることで、資格取得や料理スキルの向上を目標に頑張れた夏休み

同年の夏休みもゴールデンウイークと同様に帰省が出来なくなったため、家で資格取得に向けて勉強した。帰省していたらなかなか自分の時間が取れなかったが、一人暮らしの部屋に引きこもることで、自然と勉強しやすいいい環境になった。家にいるしかないと割り切れたから、勉強に時間を使うことが出来て、資格取得を叶えることが出来た。

夏休みはそこまで長い期間はなかったため、暗記項目をすべて覚えるようなことは出来なかったが、それ以降の勉強モードへの切り替えには役に立った。

また、夏休み期間はヘルシーな自炊を模索するようになった。今までは洗い物が少なくなるようにどんぶりで済む簡単な献立が中心だったが、野菜のおかずを増やすためにレシピ本やネットを活用した。おかげで体重が少しずつ落ちていき、いわゆる「コロナ太り」とは無縁だったし、献立のワンパターン化も解消されていった。

外出自粛期間は不便さより、ひとり時間の密度の濃さが印象に残った

この頃は特に外出に気を使っていたから、買い物に失敗したときの歯がゆさは今まで以上にあったし、バスで行くような場所には出かけづらくなり不便ではあった。しかし、独身の社会人だからか、自分のことやりたいことだけを考えればよいひとり時間そのものは楽しかったことのほうが多い。

新型コロナウイルスによる外出自粛をまたしたいわけではないが、突発的な苦難があっても同様に自分の力で乗り越えていける自信が付いたことはトータルでプラスになったと思う。