会社員として働く私は、最近初めての転職をした。
転職に至った理由としては、元の会社の評価制度、そこでの仕事をそれ以上続けたところで自分の成長に限界を感じたこと、待遇の手薄さ、社風……等々、色々と挙げることができる。でも、あまり大きな声で言えない理由として、「飽き」も潜んでいることも承知している。

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他人と比べてどうかはわからないが、自分では飽き性な方だと思っている。何年も好きで続けられていることなんて、1つや2つといったところだろう。
何かに興味を持つことはあっても、悲しいかな、極めたいと思えるようなことは何もない。特定の何かを絶えず長期間続けることなど、私にとってはもはや天文学的確率なのかもしれないとすら思える。
最低でも週40時間は向き合うことになる仕事ともなると、残念ながらその「飽き」のスピードは格別だ。
新卒の就活では、苦労を経ながらも様々な幸運が重なって、自分が唯一興味を持てた職種(新卒で就くのは狭き門と言われている)に無事就くことができた。入社時には、確かに「ここで長く頑張っていこう」と志を掲げていた気がする。
でも、1年、2年……と時間と共に色々な現実を見聞きするようになると、そんな志も見事に消え去っていた。色々な思いが拭いきれなくなり、「私が長く頑張る場所はここではない」と確信し、転職活動に踏み切った。

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転職活動は、拍子抜けするくらいあっさりと終わった。
直感的に「いいな」と思ったとある求人に応募したところ、面接でも驚くほど話しやすく、面接官の満場一致で合格した。もちろん迷うことなく内定を受諾した。
実はその求人の職種は、今まで従事していた職種とは関連があるものの、若干ずれたものだった。つまり、前職での経験が多少活きるとはいえ、第二新卒という年齢も微妙に過ぎている私に、自然な形で未経験職種のチャンスが巡ってきたのだ。
違う職種に重きを置いて転職活動していたわけではないが、飽き性にとっては、結果的にこの上ない幸運を手にしたことになる。

実際、入社から少し経った今の私としては、心から転職してよかったと思っている。
待遇も格段に良くなり、職場も雰囲気が良く、不満となる要素も見当たらない。まさに「ご縁」とでも呼ぶべき巡り合わせだと思う。
一から業務を覚えるのも、大変ではある一方で、それすら楽しいと思えてしまっている自分自身にも驚いた。私が前職で得られなかった充実感を、今ここで全身で感じているのだと思うと、仕事をするということ自体にも前向きになれるし、そのこともまたとても嬉しく思う。

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でも、飽き性の私のことだ。やがて仕事にも慣れ、数年経過したら、またマンネリを感じてしまう可能性はなくはない、とも同時に考えてしまう。
いつか「飽き」が来ること自体は防ぎようのないことであって、そこは割り切るしかないと思う。だからこそ、採用してもらったときの喜び、入社したてで新しい知識が次々増えていくことへの充実感、そしてこの会社で長く頑張っていきたいという熱意を鮮明に覚えている今、文章にしてそれらを忘れないようにしたい。

「飽き」だけではない。これから先、高確率で仕事上の「だるさ」「しんどさ」といった敵にもいずれ遭遇することになるだろう。でも、私はちょっとやそっとのことではへこたれたくない。というよりは、この幸運を得た喜びを忘れない限り、自分の心が限界を迎えない限りは、大変な中でも前向きになれる部分を見出して、へこたれるわけなんてないと思える。
この仕事に就けたことがご縁なのだとしたら、それに付随する困難も、きっとご縁なのだと思いたい。
初心忘るべからず。いただいたご縁を大事にすることを心がけて、充実した会社員生活を続けていきたい。