論理的な思考と想像力。これを政治に求めます。
これを強く実感したのは、選択的夫婦別姓が認められなかったときだ。
先進国の中で、女性の権利が認められなかったのも驚きだが、何よりも議論に納得が出来なかった。
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まず、論理的な思考について。
夫婦同姓派の政治家は、別姓だと家族の一体感が薄れる、子供が混乱するなどと主張する。でも、同姓だと子供への影響はゼロなのだろうか。
だが、データを見ると日本では、95%以上の女性が婚姻時に改姓し、離婚時に親権を取るのは80%以上が母親だ。データを基に考えれば、親が離婚した子供は、かなりの確率で姓が父親のものから母親のものに変わる。子供にとってはかなりの混乱だ。
母親が旧姓に戻さなかった場合でも、問題がないわけではない。
大学生の時、父の不倫で両親が離婚した。私は自由に選べる年齢だったため、父の姓をそのまま名乗った。母も父の姓を名乗っているが、旧姓に戻したいとこぼす。「戻せばよい」と言う私に、母は言う。
「戻したらこの家の表札はどうするのか、離婚したと近所に知られる。仕事先でも名字を変えないといけない。周りの人は気づくじゃない」
でも、こうも続ける。
「死ぬ前までには戻したい」
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辛い人生の変化点を他人に知られること、それを防ぐために裏切った相手の名前を名乗り続けることの苦痛は、想像に難くないのではないか。
未成年の子を持つ母親であれば、子供の姓を変えないために元夫の姓を我慢して使い続けることだって少なくないのではないか。
先日、久しぶりに会った大学時代の友人が少し落ち込んでいた。5年付き合っている彼と少しギクシャクしているらしい。結婚の話が出る中で、名字に対する考えの違いに気づいてしまったと言う。
彼は当たり前に友人に彼の名字に変えてもらえると思っている。だが、友人はそのつもりはないようだ。ただ、結婚寸前で、どちらが姓を変えるかで揉めて別れた知人もいる。下手に自分の正直な思いも伝えられない。
彼は好きだけど当分は結婚できないな。そう言って友人は寂しそうに笑った。
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統計を取ったわけではないけれど、同じように結婚しない選択をするケースは珍しくないように感じる。ただでさえ未婚化が叫ばれているのに、ますますその傾向は強まるのも無理はない。
夫婦別姓の議論があるのは、別姓にしたい人がいるから。別姓にしたい人がいるのにそれを認めなかったら、結婚しないことを選ぶ。結婚する人が減ったら、子供も生まれない。子供が生まれなかったら少子化が進む。事実婚で生まれたとしても非嫡子扱いで、子供に悪影響。こう想像するのは難しくないのではないか。
性犯罪に関する法律とか、古すぎてテクノロジーの開発を妨げる法律とか、私を含めた少なくない人が疑問を持つ政治がある。
政治家が見ている日本と、私が見ている日本は違う。同じ目線で物事を変えていくのは難しいけれど、もう少し、データを見て論理的にかつ想像力を持ってもらうのが、私が政治に求めることだ。